船橋 芳信

2019 30 Sep

Luisa Miller

Luisa Miller

9月25日、マエストロ・Roberto Abbado指揮、Luisa Miller ヴェルディフェスティヴァルに招待された。
17:00,アトリエを出発、コルベット広場からA1高速道路に繋がる環状線に入り、一路南へとハンドルを握る。
Mario Rossi 指揮 Lauri Volpi テナーに依る、1953年録音のLuisa Miller聴きながら、Lodi, Piacenza, Fidenza,
1800年代初頭、スタンダールが、馬車で多く通った道、其の思い出をオペラとの想いと共に深く語った
ここロンバルディア平原である。何の変哲もないここ平原には、均衡のとれた自然の美し差が際立っていた。
そんなスタンダールの言葉と、想いを共有しつつ、車ではあれ、通り過ぎるのは、いつも感慨深い物を感じる。
 パルマには約一時間後には着くと、すぐに街の中心地にある地下駐車場に車を入れる。
大きなパルマ川の川沿いに遊歩道が整備され、道路を渡るとすぐにPalazzo del Pilottaに出逢う。
ウイーンのマリア・テレーザの直轄地であっただけに、その宮殿の偉容堂々さには、息を呑む程の素晴らしい存在感が
示されて、今尚その存在を主張している。その宮殿の中にテアトル・ファルネーゼがある。1500年代初期に作られた
全て木造の巨大な劇場である。優雅さ、威厳さ、重厚さ、存在感の全ての要素を兼ね備えたこの劇場に、
去年のヴェルディフェスチヴァルで、Roberto Abbado指揮、Il Trovatore を観劇した。
 今年のLuisa Millerは、修復中の教会、San Francesco del Pratoで演奏された。
工事現場のパイプの組みかけの中で、それを利用した舞台装置、不思議な空間の中での、Luisa Miller,
ヴェルディの生まれ故郷、ブセットの直近くのパルマ、街そのものが舞台背景、ベルディの音楽には強い
1800年代の郷愁が醸し出されてくる。マエストロのロベルトの指揮のもと、
ヴェルディの音楽に酔いしれて、パルマの街を後にしたのはほぼ、真夜中だった。