船橋 芳信
2017
27
Nov
運慶展を観る。
東京滞在最終日、長崎行きの羽田発、14:00までの時間を利用しての上野、東京国立博物館開催の運慶展だった。9:30開場に合わせて、会場に着くと、切符売り場は長蛇の列、入るのに小一時間を要した。奈良の興福寺中金堂再建記念特別展『運慶』である。日本で最も有名にして卓越した造形力、まるで生きているかのような描写力、知らなかったが、日本のミケランジェロと称されている。ミラノに生活していて、ミケランジェロの作品には、数多く接している小生にとって、ミケランジェロよりも300年も早く、存在しその芸術作品を残している事に、驚きと感動を覚えた。会場に入ると人人人、人垣に阻まれながらも、空間の中に存する毘沙門天に竦みたつ自分を見出している。言葉を忘れ、驚きと感動の波が全身を襲う。人が創った物とは、到底信じ難い彫刻の圧倒性に、人の為すべき事の尊さや、その可能性、人生観にまでその彫刻の見事さは、語りかけてくる。22体の彫刻は、残念ながら駆け足で見て回った。しかし実物を直にこの目で見たその現実は、計り知れない感動を今尚残し、康慶、運慶父子の生きた製作時間の実態は、自分の体に刻印された。