船橋 芳信
時代は移り、服は、、、

ビキューナ、超高級、ウール素材、カシミアの10倍はする価格、アンデスの山奥に生息するアルパカ種の珍獣である。
物作り、ファッション産業について考えさせられる。
ファッションは、流れる水のように止どまる所を知らないように先へ先へと、 シャケの遡上の勢いで登り詰めている1980年代のような時期もあった。
今、現在を表現しようとするデザイナー、感覚は時代の変遷とともに移り変わる。
高いところから、低いところへと流れる水のように、
人の興ずるところの心も、金銭経済の流れに影響される。
経済の指標となる株式市場はまさに、人の心の動きそのものだ。
大量消費文化の真只中を泳ぐアパレル企業の我々にとって、
人が何によって左右され、動かされ、
どのように消費生活と繋がるのか、その事について、
深く考える必要性を要求されている。
グローバル経済化というとてつもなく理不尽な嵐が加わって、
生産システムはグローバル化し、巨大化された資本投下の下で、
一握りのメーカーだけが生き残るという産業システムのネジは、狂い始めて今に至っている。
コロナ禍に采悩まされて、ファッションビジネスのサイクルは、払拭された。
生地展のキャンセルされ、ファッションフェアーも、国境閉鎖で、各国間の空港閉鎖、
バイヤーの行き来も出来なくては、市場は正に閉鎖状態に落し込んでしまった。
市場はまさに砂漠化し、資本を持つ者のみに世界、市場は開かれているのだろうか?
人が動けなくなって、インターネット市場での物販が、活発化してきている。
物作りのモチーフ、動機を、又、商品価値、商品価格、
デザイン性、素材、縫製技術等我々の持つノウハウを、
市場から徹底的に問われる時代に突入しているのを強く信じたい。
正に祈りに近い状況に、市場は落ち込んでしまっている。
自分は何をしたいのか、何の為にしたいのか、
そして一体何が出来るのだろうか?
グローバル化と言う言葉、実態そのものも、あの忌まわしい、
リーマン・
サブプライムレートが引き起こしたバブル経済の破綻のように、
幻想、虚構に過ぎないのではないのか。
グローバル化は、正にインターネット販売の市場に、存在している。
そして、、資本主義経済は30年前に既に破綻し、
資本主義経済システム の正常化はあり得ぬ幻想と
なっているのではないだろうか。
人が物欲、金銭欲の為に向かって行動し、その思い込みは
どんどん膨らんで行く。
思い込みを、証券化し、世界中にばらまいていく。
それが実態経済を幻想の世界へと膨らませて行く。
人の心と経済の実態は、膨らみに膨らみ、限界点に達して行く。
そして突然、インターネット上に出現したビットコイン仮想通貨から生み出された
ブロックチェーンシステムが出現している。
社会の構造、システム、コロナ禍に依る、米中政治、軍事的衝突、経済的軋轢、
阿部首相の突然の辞任、強まって行く全世界規模での自然災害、人種問題、雇用問題、
高齢者社会、福祉、問題ばかりの現況にあって、
ファッションはこの時代の流れの中で、どう沈み、どう浮き上がって行くのだろう?