船橋 芳信
2019
31
Aug
コレクション創り!






毎年、毎シーズン、コレクションと称して服をつくる。服作りは、勿論楽しい。が、創った服を売るのは難しい。
創った服は、代理店を通して売られて行く。代理店は展示会を催し、ブティック、ショップのバイヤーに売込みをかける。
そこで売れた服を、納品時期に合わせて、作って行く。ごくごく簡単な仕組みと流れだが、これが不具合を起こし、消費者が
服を買わなくなってきている。理由は、市場に出回る安い服の氾濫で、価格破壊が起こってしまった。
ビジネスの基本が、少ないもうけで大量販売になってきている。
一個100円の儲けでも、一万個売れば一億円の儲けである。
ハンドソーイングではそんな理屈は、あり得ない。それで、小さな洋服屋は、どんどん消滅している。
ミラノには我々のような小さな工房が50軒以上、在った。いま多分2軒から3軒しか残っていない。
この変化は、我々洋服屋だけには限らない。レストラン、食堂も同じ傾向をたどっている。
時間をかける事、コダワリを持つ事、質を追求する事、はビジネス的には成功する度合いは、薄い。
唯、徹底的にそれに打ち込み、他に追随を許さぬ高品質のものであれば、自ずと光り輝いてくる。
其の地平線は遠く、霞んでいて、歩み寄るのは至難の技ではない。
ならば、見えぬ地平線等見ずにして、今日も服作りに励む。
さあ!明日からは9月が始まる。
秋の日は、新しい服に身を纏い、舗道の枯葉と連れ添いながら、
木漏れ日を浴びて颯爽と歩きたい。