船橋 芳信

2020 25 Jun

3Dボディスキャンナ

3Dボディスキャンナー

3Dボディスキャンナーなるモノが、今後ファッション業界の常識となる現実が直ぐ其処に迫っている。

我らデザイナー、パタンナー、ファッション業界の職種が、徐々に消えて行くのだろうか?

一昔前、25年くらい前迄は、まだ、ボタンホール用のシルクの糸、コルドンチーノはミラノの服飾雑貨店には、置いてあった。

我々、仕立て人、職人にとっては今では幻となっているフランス製の指抜きは、何処を探しても売ってはいない。

ファッション業界のオートマティックシステム、縫製業界の技術の進歩が、手作業の道具を作るメーカーを消滅させ、

手作業に必要な資材の不要化を押し進め、その結果、服とは、ウィンドウに飾られ、ブティックの店舗に、

デパートの売り場に、忽然と姿をあらわす商品となって久しく時が経った。

服作りに、人の手が関わる頻度が極端に減っていった。

既製服の究極、人の手を煩わせないこれらの服達は、ブランドという顔を持ち、

ブランドは、商品つくりから生産をいかに早くよりやすく、もっと利潤を追求する企業となって、グローバルな工場運営に、

人件費が安い国へと、まるで高きから低くへと流れる水の如くに世界中の後進国を流れ回った。 

グローバルリズムは時の主流となって、大量に原材料を叩いて買い占め、結果、ウール、綿、麻,等の資源が市場から品薄となり、原材料の高騰が始まった。

大資本にだけ可能なグローバルファッションは、市場を席巻し、安い商品を供給して数の力で、莫大な利益を生んでいった。

ここにグローバル化の成功はこの先も続く筈だった。

が、とんでもないことが起こった。コロナウィールスである。

人が動いては感染が広まって行くので、各国は、ロックダウンをし、人々の行動に制限を加えた。

家から出ることを禁止された国民は、消費生活から切り離され、ひたすら、ウィールスの消滅、沈静化を願った。

当然ブティック、デパートは閉鎖され、消費は止まってしまった。

ここ何十年と云う経済のリズムと継続が、プッツリと途切れたのである。

 そして3ヶ月のロックダウンに、痺れを切らし、経済の復活を後押しする政府の憂慮は、始まった。

未だ感染者が、出現する現実を、知らぬフリして、普通の生活へと舵を切った。

果たして此の決定が、是となるか非と出るかは、コロナウィルスのみが知る。

 そんな中、ウェブデザイナーのF氏から、3Dボディスキャンナーに依る服作りの話が舞い込んで来た。

ほんの数秒で、約2万点の計測を行ない、其のデータを、自動パターン製作キャドに伝え、計測したお客さまのアバターを、                                                                 テレビに映し出し、キャドから製作されたパターンを、指摘された生地にのせかえ裁断し、そのパーツをアバターに着せ付ける。

アバターは画面上で歩いたり、腕を上げたり、服のパターンをチェックすることが出来る。

 ここ迄の作業に、デザイナー、パターンナー、縫製、の仕事が不要となり、其のポストは軽く飛んでしまっている。

ウェブデザイナーのF氏は、曰く、ブティックに行かずともインターネットで顧客とビジネスが出来る、利点を持っている、と主張する。

服作りは、今後様々な要因と其の動機とを、深く問われて行くことになる。