船橋 芳信
2019
29
Sep
40年目を迎えて!



我がアトリエの庭には、野菜柑橘類の植木鉢が夏の日差しから、仕事場を遮ってくれている。
お陰で、冷房機への依存は、3週間程で、快適な仕事場にしてくれている。
去年までは、中庭を覆っていた葡萄のツタ、葉が無くなってしまった。
葡萄の根が、地下を通る温水管に絡みつき、管を潰していたから、大家からの撤去命令に従わざるを得なかった。
それでも、アルビコッカ、柚子、蜜柑、枇杷、唐辛子、イチジク、ズッキーニ、メンタ、紫蘇の葉、バジリコ、
タイム、ラベンダ、、、、、
圧巻なのは、今年は柚子が、豊作だ。
今年の2月、膵臓がんで亡くなられた孝子さまが、16〜17年前に、自宅で実った柚子と松茸をこっそりとお土産に
戴いた。其の種を植木鉢の中に捨てていたら、芽が出て、樹になり、14年頃から白い花が咲き、実が生るようになった。
4メートルの高さになり、多くの実を付けた今年、孝子さまは、2月に無くなられた。
毎シーズン、毎シーズン、15年に亘り、服のオーダーを戴いた。
私の服を支えてくれた恩人でもあった。合掌。
イタリア在住、40年になろうとしている。多くの人と交わり、多くの人と別れていった。
又多くの企業と取引をし、多くの企業が消えていった。
今ファッション業界に於ける、セレクトショップ、代理店、輸入業は大転換期を迎え、これまでの流通システムは、
市場、ものの動きと、人の心、動機と掛け違えた存在になってしまった。
それでは、コンピュウーターシステムに乗って、市場の動向に振り回されて、追随する物作りへ転換するのだろうか?
我々アトリエでは、素材は、高級化し物作りは、益々こだわる手法へと進んでいる。
当然ながら、高額商品へ今後益々移行して行くだろう。
人の手に依る、人とのコミュニケーションをベースに、服作りに励みたい。