芹澤 絵美
ニュージーランド政府の財政サポート
1つ前の記事にて、
「不安を払拭する材料が皆無」と書きましたが、私のリサーチ不足でした。
私が住むワイヘキ島にCOVID-19の感染者が出ていないか調べていたときに、
オークランド・カウンシル(市役所)のホームページ内にある、
COVID-19特設サイトに訪問したところ、
分かりやすいアイコンで「ファイナンシャル・サポート」を見つけました。
ニュージーランド政府は、
ロックダウンによる経済的影響への財政対策として、
121億ドル用意しているとのこと。
その121億ドルの申請の仕方、支払われ方が明記されていました。
まず、雇用主に向けて、
このロックダウンの影響で従業員を解雇したり減給する場合は、
通常彼らに支払われるべきだった週給を4週間分支払い、
それら金額の合計を政府に申請してください、というようなことが書かれています。
それからロックダウンが原因で失業した人へのサポート、
借家の家主へ向けて、ロックダウン中はニュージーランド国内にいる全員が安全に過ごす家が必要なので、家賃が滞納されても住人を追い出さないこと。
それに付随して、生活費サポートがありました。
これが一番重要です。
生活費がサポートされる人の対象は、
食料品、医薬品、家賃、水道光熱費、等の支払いが出来ない人です。
これらの人は、オンライン申請書にて、必要なお金を申請すれば受け取れます。
私は、これを見つけて本当にホッとしました。
今現在かなりの申請が多数寄せられている為、
処理に時間がかかっている旨も並記されていました。
このような給付金を出す場合、不正受給にどう対処するか、という問題が必ず出てきますが、
この国は、IRDナンバーという番号をほぼ国民全員が持っていて、
銀行口座や証券口座に全て紐付けられています。
つまり、政府が国民の財産をほぼ全て把握しているということです。
なので、収入、貯金残高、家賃の有無、家のローンの有無、
なども簡単に調べることが出来、本当に困って申請している人が仕分け出来るのです。
もちろん、IRDナンバーが紐付けされていない隠し口座を持っている人もいるでしょうが、
銀行にIRDナンバーを紐付け(義務では無い)しないと、
銀行利息や投資で得た利益に最高税率30%がかけられてしまうので、
ゼロ金利ではないこの国は、少しでも多くの金利を得る為に、
大概の人はIRDナンバーを銀行に紐付けています。
というわけで、不正受給をゼロにすることは難しいかもしれませんが、
不正受給をするのにもそれなりに面倒な仕掛けがすでにしてあるということです。
この政府からの財政サポートは、
別にアナウンスされている訳ではありませんし、私もたまたま知りました。
よく、政府が用意するサポートは隠されているという陰謀論のような話も耳にしますが、
本当に困っている人のみに使われるべきお金なので、
テレビCMしたり、全戸にチラシを配ったり、SNSで発信する類のものではないということです。
本当にサポートが必要な人は、どの国であっても役所窓口に相談にいくと思います。
そういう人々にはきちんと説明がされるようになっていますので、
例え、インターネットが使えない人でも窓口にいけばサポートは受けられます。
本当にファイナンシャル・プロブレムのある人は、
国や自治体のサポートの有無を必ず役所に行って調べますし、
その為に役所の窓が開かれていると思います。
何か問題があって外に出られない人にも電話窓口が開かれていますし、
隣人に相談するくらいは出来ると思います。
政府から困っている人を探し出すよりも、
困っている人から政府を頼るほうがよほど早く節税になります。
税務にかなり透明性の高いニュージーランドだから出来ることこかもしれませんが、
マイナンバーに国民が反対しているようでは、税務の透明性は達成されないでしょう。
(国民が政府に不信感を抱くのにもそれなりに原因があることと思いますが)
いずれにしても、ロックダウン中の国民の心配はズバリお金です。
それに適確に答えられていて安心しました。
あとは、知っている人が知らない人に教えてあげることが大切ですね。