芹澤 絵美

2020 02 Apr

なんでこんなことに??

 

ロックダウン開始から1週間が経ちました。

私が働いている会社は、
ロックダウンの前日に政府から正式に就業許可が出ましたので、
人数を絞って、安全ガイドに従ってブドウの収穫を進めています。
この、働けて収入がある、というのはかなりラッキーなことになります。

ニュージーランドのロックダウンは、
要請では無く強制なので、政府が認定した職業以外は基本就業禁止です。

私は未だに、このウィルスにロックダウンという措置をとることに疑問で、
世の中がちょっと騒ぎすぎじゃ無い?という初期段階から心配していたことが現実になってきている気がします。

人々が過剰反応することにより世の中がヒステリー状態になり、
対応を迫られた政府がロックダウンなどをすることによって起こる人災。

それがリストラです。

例えば、ほとんど国営企業とも言えるようなニュージーランド航空は、
50億ドルの損益を計上し、30%の社員リストラを今週からスタートさせました。
約3000人の人が解雇されます。

身近なところだと、
ワーキングホリデーでニュージーランドに来ていた人々は、
突然仕事を失い、週5で働かなければ家賃さえ払えないのに、
各国の入国拒否措置等の影響で、各航空会社が減便、運行停止を行い、
母国に帰国出来なくなってニュージーランドに閉じ込められている状態です。

いつも犬の散歩に行っているスポーツパークでは、
テントを張って寝泊まりしている人を見かけました。

国が正常に機能しない状態の始まりです。
最初のうちはStay safe, Be Kind, Unite Against Covid-19と言って、
人によってはホリデー気分で楽しんでいますが、
貯蓄が無く、週給で働いている人はいきなり明日をも知れない生活に突入し、
その不安を払拭する材料が皆無なのです。

ウィルス蔓延は自然災害ですが、
ロックダウンによる貧困は人災です。

果たして、COVID-19ウィルスはそれほどまでに蔓延しているのでしょうか?
2009年の新型インフルエンザ・パンデミックの時には、
日本国内だけで推定1500万人以上が感染しました。
(途中でPCR検査を止めたので正確な人数が不明)

私には2009年パンデミックに関する記憶すらありませんでした。

後から調べると、世界的流行だったにも関わらず、
どの国もロックダウンはもちろんのこと、入国規制さえもしていません。

もちろん違うウィルスだから同列に語れないとは思います。
死者数も突出して多い国もあります。

それでも現在、COVID-19の感染者数は全世界合わせても150万人以下です。
これからもっと増えていくと思いますが、
それでも、これは新型インフルエンザパンデミックの比では無い感染者数です。

感染者数が新型インフルエンザに比べて少ないから大したことない、
とはもちろん言いません。
休校や、リモートワーク、ソーシャル・ディスタンスなどの措置は、
それぞれの国で行うべきとは思います。

けれど、現在の人々の反応は、
このCOVID-19だけが特別なウィルスで、
このウィルスによる死が他の死とは違っていて、
経済にトドメを刺すロックダウンをしてでも蔓延を食い止めなければならない、
という精神状態になっているような気がします。

2009年パンデミックと何が違ってこうなっているのか?
あの時行われなかった政策を今このウィルスに対して行う事の法的整合性など、
世の中がどういう変化でこういう反応を示しているのか、
社会学的な見地?からの意見も聞いてみたいです。


私ごとき素人の意見なので、当然各国政府の中枢でも議論されていると思いますが、

このように数字を元に国民に語りかけようものなら、
「だから大したことないっていうのか?命をなんだと思っているんだ!なとかしろー!」
みたいな一部の声の大きい人々からの反応が予測され、その影響が支持率に影響したりして、
政治的な立場からはこのような意見は言えないのかな?と想像しています。

そんななか、緊急事態宣言を見送り、
「そのような事態ではまだない」と言った安倍総理は勇気があるなと思いました。

命の重み思想が年々増している中、人権団体あたりからとっても批判を浴びそうな決断です。
けれど、数字的に整合性の取れている発言だと私は思っています。

2009年新型インフルエンザパンデミックの時の総理は、麻生太郎現副総理。
麻生氏は、COVID-19が、少なくとも日本国内では蔓延認定に至るほどではないことをよくわかっていると思います。

世界の経済が混乱の様相を呈している中、
事の震源地であった中国は、その独裁力で着々と国内平常化を行っています。
現に、世界の注目が欧米に移り、
中国からの情報はピタリと止んでいるような感じがします。
国民に情報が行き渡りすぎることの弊害を知り、
その統制を簡単にできるのが独裁国家のメリットです。
もちろん賛成は出来ませんが。

けれど、もしも世界がCOVID-19に関しての報道をもう少し抑えたら、
感染が止まらなくても、今のようなヒステリーは起きなかったのでは?とも思います。
それぐらい、報道されるCOVID-19による「死」に人々は動揺しているということです。
報道されない「死」のほうが膨大であるにも関わらず。


いずれにしても、もうこの大きなうねりはしばらく世界を揺さぶり続けることでしょう。
もう、COVID-19の実力をどうこう判断しても世論がついてこない段階に入ってしまいました。


このうねりの影響を少なくすることが政治的役割だと思います。
中国はその独裁力でもってすでに準備を始めています。

日本もうねりに飲まれることなく、内需を盛り上げて持ちこたえて欲しいです。