芹澤 絵美

2019 25 Nov

余計なお世話&人間のエゴ

うちのデッキに巣を作っていたスターリングのその後ですが、
私の無知から来る余計なお節介で、いろいろ紆余曲折ありました・・・。

もともと6羽孵化した雛のうち、
2羽が早々に死に、
残りの4羽の中でも明らかに強い2羽と生き残りが怪しそうな2羽に分かれていました。

数年前に仕事先から引き取ってきたブラックバードの雛を育てた経験があるので、
どうせ淘汰されるならスターリングも育ててみたい!と思い、
明らかに弱そうな1羽を巣から取り出しました。

この子はすでに体が冷え、かなり衰弱していました。
鳴くこともエサを貰う為に大きく口を開けることも出来ず、
スポイトでエサを与えても消化出来るかどうか分かりませんでした。

最初の子の確保から数時間後、なんとな〜く嫌な予感が。
「私、失敗したっぽい?!・・・」


親が何かを察知したのか警戒して巣穴の中に入らないのです。

人間の匂いが付くと鳥によっては巣穴を放棄するとか聞いたことあるし、
と自分の最初の判断に迷いも生じました。

この時期の雛は半日餌を貰えないと死に至ることもあるので、
焦った私は、このまま状況が悪くなるか良くなるかわからないけれど、
2度目のコミットメントで、残りの雛を取り出しにかかりました。

すでに2番目に弱そうだった雛は死んでいて、
いつも一番最初にエサを貰えていた2羽だけが元気に鳴いていました。

最初に確保したひ弱な雛と比べると、
後から確保した2羽は明らかに大きいです。

兄弟と一緒になってチビちゃんも安心?!
と思っていたのも束の間、そんなほんわか気分は人間の感情だけで、
生き残りがかかった雛たちには思いやりなど存在しません。

私は人間なので3羽平等にエサを与えることが出来るけれど、
雛のほうは当然そんなことを知らないので、
我先にと一番小さい雛を踏み台にしてでも高く大きく口を開けてきます。

チビは気づくと兄弟の足の下に踏み潰されています。

そのたびに救出するのですが、
もともと衰弱していたこともあり、2日後にはチビはあっけなく死んでしまいました。

親鳥2羽に対し、4羽全部が生き残ることは稀だったとしても、
結局2羽になるのだったら、親が育てるのが一番なわけだし、
今後は目の前で命の自然淘汰があってもグッとガマンしてコミットメントするのはやめよう、
と反省しました。

それでも頑張って生きたチビちゃんを埋葬し、
残りの2羽はカゴに入れてどこにもで連れ歩き、
1時間おきにエサを与えました。

2羽を確保してから3日後、
デッキに親鳥らしきスターリングが現れたのを発見!
元の巣穴のあたりで雛を探しているようでした。

様子が観察出来ない巣穴にはもう戻せないので、
カゴにいれたまま、親がアクセスしやすい場所に雛を置いてみました。

親鳥が呼ぶと、雛も鳴き返す、を繰り返し、
数十分後には、親鳥が給餌を開始しました!

私の匂いがベタベタついたカゴや雛鳥にも、問題無く近寄っています。
スターリングという鳥種はどうやらそういうのは気にしていないようです。

夜になるとぐっと気温が下がるのと、
外敵(猫かフクロウ)に襲われる心配があったので、
カゴは家の中に入れました。
そして翌朝カゴを外に出す、というのを繰り返して4日が経ちました。

親鳥の餌の運び方も変化し、
朝晩は頻繁に、昼間は1時間に一度来るか来ないか、というパターンになりました。

飛行訓練の時期が近づいているのか、
親鳥がちょっと離れたところからしきりに呼ぶ姿もみかけられます。

私の余計なお世話のせいで、
人間と鳥の不思議な共同作業になってしまいましたが、
なんとか野生に戻れそうで安心しました。

飛び立てるまであと数日、ということろでしょうか。
親鳥の飛行訓練テクニックを、遠くから観察させて頂こうと思います。