山中 健
ZARA ショールーム型店舗がもたらす2つの効果とは
Courtesy of ZARA
ZARAが六本木ヒルズにオープンしたポップアップストア。内見会には行けなかったので、オープン初日である昨日午後に一般客として行ってまいりました。
他のショールーム型店舗と同様に、スマホのアプリを使用してECプラットホームでの買い物を店頭でできるというものです。
アパレルウェブの体験レポートや宮田理江さんの記事にもありますが、同店の違いは、試着室予約、そして予約を待っている間に、選んだ商品がその予約した試着室用意されている点です(私が行った時の待ち時間は5分)。そして、店頭での決済や店頭事後受け取りが可能と言うのも特徴でしょう。
魔法のように無駄が省かれ、とてもスマートに買い物ができるのが、同店の魅力です。それ以外にもこの取り組みによる効果があると思います。
1.店舗環境(特にディスプレイ)の向上
量感陳列とセルフ販売を主とする業態は、陳列は乱れがち。しかし、ショールーム店舗だと、1型1点の品出しだけでいいので、イメージ高い陳列が可能です。ファストファッションでは、オンラインなどで「欲しい!」と思っても、店頭に行ったら売場のチープ感や雑さで購買意欲が減退するケースがままありますが、同店はオンライン以上の魅力を伝えることができています。
2.スタッフがサービスに集中でき、ホスピタリティの感じられる店舗体験ができる
セルフ型繁盛店だと、スタッフは品出しなどの作業に追われがち。自然と表情はこわばり、急にお客様に尋ねられても後手に回り、十分な対応ができていないことが多いものです。しかし、同店は通常店舗と比べ作業も減り、お客様への目が行き届いています。今は、ローンチしたばかりですので、アプリの使い方がわからない来店客が多いのですが、そちらについても先回りした提案が出来ています。お客様の不慣れなことを説明するので、スタッフ側がリードできるという力関係を生みます。これは、アップルストアなどが行っている顧客関係作りに近いでしょう。「こんなに対応のいいZARAは初めて」と思ってしまいました。
今回のショップは六本木ヒルズのウエストウォークにある元々の店がメトロハットに移転するまでのポップアップショップ。売上よりも顧客との関係を絶たないための取り組みだと思います。
なので、全部をこのような店にした方がいいとは思いません。しかし、大きなチェーン店で上位価格商品を販売する場合やイメージアップ、もしくはトラフィックがある立地の小型区画の有効活用などでの取り組みにはヒントになる事例だと思います。
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