山中 健
進化する初売りセールのあり方
皆さま、あけましておめでとうございます。仕事始めは1月6日からですが、1月2日に新宿の初売りをチェックしに出かけました。
1月2日に新宿で初売りをチェックすることを、20年以上続けてきましたが、今年は特に思うことが多く、こちらに記させていただきます。
思い返すと、この20年の間に、ファッション店における福袋のブーム、セールの開始日の変更、そして近年では従業員満足のための休業のあり方などが話題となりました。
今年感じたことは、ファッション店において「やっぱり初売りはセール」だということです。新宿にはアッパーマーケットの一番店である伊勢丹、ミッドマーケットのルミネ、そしてグローバルSPAの旗艦店があり、それぞれ戦略が異なりますが、今年は1月2日の初売りをセールで盛り上げていました。やはり歳時として初売セールは大事なのでしょう。
ここ数年は、「店頭でのセール打ち出しは控えめにし、オンラインで早期から徐々にセールを広げる」という傾向が多かったと思います。その背景には、「防寒アウターの実需期にセールを行うことは、大きなマークダウンロスにつながる」ということ、そして「無理な値下げは持続可能な施策ではない」という主張がありました。
しかし、今年はこれまでセールを先送りしていた伊勢丹新宿店やルミネも、セールで盛り上がっていました。伊勢丹では、ファサードなどではプロパーイベント(ディオールのポップアップなど)が目立ちましたが、ファッションの売り場はセールで大いに賑わっていました。特に、ドメスティックブランドの売り場では大混雑でした。これは、「秋が飛んだことで苦戦した2024年秋冬シーズン商材の消化」というメーカー側の切実な事情と、「懐は寂しいが感度は落としたくない」という消費者ニーズが絡み合って生じた現象のように思います。
そのような中で注目すべきは、ルミネの取り組みです。「セールの先送り」を提案して業界に警鐘を鳴らしてきた同社は、「エシカーニバル」と銘打ち、「エシカル(倫理的な)」なイベントとしてセールを実施しました。「地産地消」に続いて、「季産季消」をエシカルな取り組みとして掲げ、旧品やB品もセールに含めたり、エシカルなサービスを付加したりしています。初売り時点では店頭でその意図を感じにくい部分もありましたが、セール終盤にかけてこのテーマに沿ったイベントを展開していく予定のようです。
「一次流通業者が新品、旧品、B品、二次流通品を一つのプラットフォームで販売する」というのが、これからのあるべき姿なのかもしれない――そんな未来を感じさせる取り組みでした。
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