山中 健

2020 21 Jun

上質なチルアウトSC「ウィズ原宿」

 

2020年6月にオープンした「ウィズ原宿」。原宿の街のエントランスを大きく変えました。改装した原宿駅の新駅舎を出るとその様変わりに驚きます。その佇まいはどこかコージーな感じ。上層階がレジデンスであるためか、街並みと溶け合う外観が魅力的。ウッドデッキの外階段、神宮の樹々を見渡せるテラスなど、共有スペースもチルアウトできる工夫が見られます。

商業的に考えると無駄なスペースが多いようにも思えますし、坂という特性から導線もちょっとわかりにくいですが、スローダウンが謳われる今、ここも魅力的に見えるから不思議です。

延べ床面積26,600㎡に対し、商業面積約10,300㎡と、建物の割にこじんまりとしてた商業スペースには、「ユニクロ」、「イケア」、そして元々あった「オッシュマンズ」など親しみやすいブランドの大型店が出店。これも今の空気にぴったり。

特に「イケア」は、初の都市型業態ということで多くの来店客が見られました。今回の売りは、雑貨強化とカフェスペース。雑貨は「スウェーデンコンビニ」というゾーンを作り、サステナブルなメッセージを込めた商品が並びます。カフェは、フラッドブレッドを使用したサンドイッチを提供。語らいにもクィックバイトにも対応できます。カフェではオーダーも決済もタブレットで完結。スローな空気感とデジタルによるスマートを体験できます。

 

 

 

「ユニクロ」は3つの区画に出店。駅側にある大きな区画の1Fは、UT専門売り場でユースに対応。POPアートやデジタルサイネージなどを配し、若さを強調しています。地下の2つの区画には「ハラジュクローカル」と「スタイルヒント」を出店。

「ハラジュクローカル」は原宿カルチャーを訴求。「ポパイ」などのファッション雑誌を展示スペースや、エスモードジャポンの学生がリメイクしたルックを展示しています。

 

もう一つの「スタイルヒント」はファーストリテイリングが開発した同名アプリのリアルショップ。壁面のサイネージに映し出したコーディネート画像をタッチすると、着用アイテムの展示場所が表示される仕組みです。発想そのものはそれほど新しいことではありませんが、リアルなルックを見ながらユニクロのアイテムを見つけるという仕組みは、量感陳列を基本としている同ブランドにとっては有効な手法だと感じました。

飲食では、創業の地にカムバックしたブラッセリー「オーバカナル」、レストランとカフェを強化した「イータリー」などが見所です。

原宿は駅前には使える店が意外と少なかったのですが、ウィズ原宿は表参道と共通する「上質なチルアウト」を感じさせ、過ごすSCとして支持されていくと思います。

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