山中 健
「心斎橋大丸本館」はポジティブなハイブリット百貨店
1ヶ月ほど前に見に行ったのですが、「心斎橋大丸本館」についての所感を書きたいと思います。そのきっかけは、明日オープンする「渋谷スクランブルスクエア」の内覧会で、東急の取り組みを見たからです。
百貨店の業態開発は、今「平場のスピンアウト業態」と「ハイブリット百貨店」が主です。「渋谷スクランブルスクエア」での東急の取り組みは「平場のスピンアウト業態」で、他には伊勢丹の「伊勢丹ミラー」や「イセタンサローネ」、高島屋や大丸や食品館などがそれに当たります。
一方「ハイブリット百貨店」は、SCと百貨店が一体化した商業施設がそれで、日本において始祖と言われるのが、東急百貨店の「シンクス」でしょう。その後、環境が厳しい百貨店にとって生き残り策として数々の百貨店が、仕入れ部分を圧縮し貸借スペースを増やしてきました。
しかし、それらの多くはネガティブな要素のもの。百貨店の器に、ロードサイド業態や郊外モール業態入っているものが多く、「これで百貨店なのか・・・」と思った顧客も多いと思います。
それらに対して「心斎橋大丸本館」はとてもポジティブ。仕入れと貸借をミックスしてこそできる編集を楽しむことができます。仕入れだと、百貨店ならではの「婦人服一部」「婦人二部」といった、百貨店の組織別にフロア構成になりがちで、服のフロアは服ばっかりにんなりますが、それぞれのフロアのテーマに沿って衣食住飲がミックスされ、ストリートを歩くような発見がありました。グレードは上グレードばかりですが、最寄り品、買い回り品、専門品をミックスしていますので、敷居も高くありません。
同店を指し「百貨店ブランドがほとんどない」と嘆く人もいますが、「百貨店チャネル」「量販店チャネル」「専門店チャネル」という概念こそ昭和の日本のもの。世界を俯瞰して見てみれば、今や意味がないということがわかります。このポジティブな事例がさらに、チャネルと業態の垣根を低くしていくことでしょう。
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