山中 健
2018年 ギンザシックスに続くSCは
大型の商業開発が少なくなっている近年。都心の大型商業開発に注目が集まっています。2017年は、ギンザシックス、名古屋のタカシマヤゲートタワーモール、上野のパルコヤなどの都心の大型物件が話題となりました。これらの特徴は、それまでのインバウンド偏重型の都心商業開発とは異なり、足元商圏のニーズと来街者の来館目的の両方を作り出せたことでしょう。
特にギンザシックスは、ラグジュアリーモールという性格上、インバウンド偏重のように思われていましたが、地下のビューティーホールやフードホール、上層階の蔦屋書店など、銀座周辺の就業者ニーズにも対応しており、パブリシティでも多く取り上げられています。
2018年も、東京の超都心での開発が予定されています。一番の目玉は、秋にオープンを予定している日本橋高島屋SCでしょう。高島屋日本橋店に隣接して専門店エリアを新設・増床します。売場面積約6万6000平米となり、大きめの駅ビルが2つあるぐらいの規模です。高島屋日本橋店の既存顧客、近隣商圏のオフィスワーカーや居住者、日本橋地区全体で流入が増加している国内外の旅行者を対象とするそうです。日本橋といえば、三越がこれまでの年配富裕層から周辺オフィスに勤めるキャリア層に向けて客数アップを図ろうとしていましたが、同社のトップ交代により戦略変更しました。そこにこの日本橋高島屋SCの戦略。楽しみです。
そして、日比谷に三井商業開発の東京ミッドタウン日比谷が誕生します。これといった商業施設がなかった日比谷エリア。買い物客を呼ぶことができるか注目が集まりますが、発表したテナントリストを見ると、ファッションの比率は著しく低く、今流にライフスタイルセンター的アプローチを感じられます。ライフスタイルセンター的アプローチとは、立地するコミュニティ(日比谷の場合は就業者)に「日常の中のハレ」を提供すること。飲食やライフスタイルグッズのテナントを取り揃えます。そして、かつての「劇場街」であったという歴史に合わせてシネマコンプレックスを導入。有楽町で幕を閉じる「TOHOシネマズ日劇」に代わり、「TOHOシネマズ 日比谷」をオープンさせ、国内来街者の来館動機をつくります。また、「mastermind JAPAN 」、「MASTERMIND WORLD」の世界初のフラッグシップストア「MASTERMIND TOKYO」もオープン、国内外の特定ファンを吸引する仕掛けも面白いと思います。
近年のSC開発は、上層階へのタテ導線だけでなく、街へ広がり作る面づくりが特徴です。日本橋高島屋は、本館と新館の間の区道の上に大屋根を作り、街の賑わいを面で創造します。また、東急電鉄が渋谷駅南口エリアに秋にオープンさせる「渋谷ストリーム」は、渋谷川という忘れ去られた自然資源にハイライトし、水際のアーバンライフスタイルを提案します。
商業の中心地回帰を目的に施行された「まちづくり3法」から10年以上、オリンピックを控えてインバウンドも戻ってきた今、2018年は超都心を楽しむという仕掛けがいろいろと見られる年となりそうです。
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