山中 健

2020 18 Mar

東コレデザイナーの試練と挑戦

(写真)HYKE 2020秋冬ショーvia apparel-web.com  Photo by Asako Nomura


 本来、今週は「楽天ファッションウィーク」でした。しかし、他のイベントと同様に新型肺炎のリスク回避のために、ファッションウィークの開催は中止となりました。

 今シーズンは、初参加のデザイナーや「TOKYO FASHION AWARD 2020」 第6回受賞デザイナーのショーなど見所が多かっただけに残念です。ジャーナリストとしてショーに行く私よりも残念だったのはデザイナーや関係者でしょう。

 東日本大震災の時も東京ファッションウィークが中止となりましたが、単独ショーを行うデザイナーもいました。特に「ミントデザイン」が放った復興へのメッセージ。その感銘は今も記憶に残っています。ただし、今回は自粛や電力制限でなく、伝染病。人が集まることを避けるなければならないということですから、代替イベントもできません。

 しかし、東コレデザイナーは色々と工夫してコレクションを発表しています。「ハイク」は3月17日20:00に無観客ショーを開催。限定したメディアのフォトグラファーも撮影し、ショーの模様をオンラインで中継しています。また、東京ファッションウィークのショーのPRを多くを手がける「ワンオー」は、「- SAVE THE FASHION WEEK -」と題し無観客オンラインショーの配信プラットフォームを「TOKYOFASHIONFILM」と組んで構築し、現在7つのショーを配信しています。

 また、注目のレディースブランド「マラミュート」はSNSインスタグラムのSTORYSの機能を使用し、ショーを配信。それぞれのルックや東京の街並みを撮った短い動画を一つのBGMでつないだコンテンツは、ビュアーの心に長く残るものになったと思います。

 

www.instagram.com/malamute_iii_knit/

 

 デザイナーの本当の試練はセールス。移動も制限される中、バイヤーをどれぐらい呼び込み、そしてシビアな経営環境の中どれだけ買い付けてもらえるのか。コレクション構築、イメージ配信だけでなく、セールスについても創意工夫が求められます。リスクはありますが、自社在庫でMDを組み、セレクトショップでのPOP UP キャラバンなどの企画を立案実行するなどの働きかけなどをやっていくことが必要です。ピンチはチャンス。ぜひ、チャンスを掴んで欲しいと願うばかりです。

 

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