山中 健
ZOZOスーツでマスカスタマイゼーションが加速
ファッション業界における今週の大きなニュースは、「ZOZOスーツ」。ZOZO TOWNが開発した自己採寸スーツです。無料配布を始めています。これにより、消費者が自分のサイズを正確かつ細かく知ることができます。Eコマースを利用する際の不安要素である「サイズ不安」を払拭するものです。体重計のように身近な存在したいと同社は言っています。
このニュースを聞いて、思ったのは「ファッション業界でマスカスタマイゼーションが加速する」ということです。すでにファッションビジネス関係者では耳に馴染んできた言葉ですが、「マスカスタマイゼーション」とは、デジタルテクノロジーを使用し柔軟な生産体制をしいて、マス商品をカスタマイズするということ。
ナイキの「NIKEiD」がその始まりかと思います。デジタルテクノロジーで「ゲーム感覚」でカスタマイズサービスをセルフで楽しむもので、話題を呼び。その後、デザイナーが立合うコンサルティングサービスも行われています。
近年はECへの移行が進み、KnotやKEIなどのカスタマイズサービスを持つD2Cプレイヤーが現れ、ディフェレンス(コナカ)やカシヤマ・ザ・スマートテーラー(オンワード)がデジタルテクノロジーと人的サービスを融合させた業態を誕生させました。また、ユニクロも、セミオーダー感覚の商品選択サービスも提供しました。
しかし、これらの段階では潜在的なオーダーニーズを掘り起こすだけです。洋服やサイズに不満を持つ層がターゲットでしょう。しかし、今回の「ZOZOスーツ」は、それまでサイズに疑問を持たなかった層への啓蒙効果が期待できます。メンズクロージングだけでなく、シューズ、ランジェリーなどでのマスカスタマイゼーションが広がりそうです。
ZOZO TOWNは、まだプライベートブランドの全貌を明らかにしていませんが、カスタマイズ対応商品であるのではないかと推測します。店に行かなくてもサイズ計ることが出来るだけでなく、誰もが自分にサイズに合う商品をあつらえる時代になりそうです。
ただ、このZOZOスーツ。消費者が自身のサイズを知ることは、ZOZO TOWN以外のプレイヤー(例えばアマゾンなど)にとっても大きなメリットとなります。ECでのサイズ不安解消、マスカスタマイゼーションの拡大には貢献しますが、ZOZO TOWNの売上拡大にどのようにリンクしていくか、注目していきたいと思います。
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