山中 健

2021 15 Jun

下北線路街「リロード(reload)」


 

小田急電鉄が、線路跡地に開発を進めている下北線路街その新たな商業施設「リロード(reload)」が2021年6月16日にオープンします。オープンに先立ち6月14日に内覧会が行われました。

下北路線街は、東から東北沢、下北沢、世田谷代田の3駅間につながる商業開発エリア。一気にオープンするのではなく昨年から各区画にある商業施設を五月雨式にオープンさせています。各エリアでターゲットは異なり「世田谷代田は住民の多く占めるシニア層」、「下北沢は若者を中心とした多様な層」「東北沢は、駒場や代々木上原からの来街客」としています。先に下北沢の駅上や世田谷代田の区画がオープンしており、今回オープンする「reload(リロード)」は下北沢の区画にあります。

下北沢の区画といっても下北沢から東北沢から歩いて7分ぐらいのところにあります。延べ床面積は1,889平米。SCの分類で言うとライフスタイルセンターと言えるでしょう。

ライフスタイルセンターとは、街づくり3法が施工された2007年頃、SC業界で流行った言葉です。定義はいろいろですが「高級住宅街に位置し」「大人客層がターゲット」「非ファッションのテナント中心」「地域住民が憩う小型SC」と言うのがその条件のようです。

日本では東神開発が立川市に「若葉ケヤキモール」を作ったのが始祖。その後は、大型SCや駅ビルにそのコンセプトを受け継いだ開発が続くこととなり、「ライフスタイルセンター」と言う言葉はあまり使われなくなっています。

今回の「リロード」は、コンセプトは純然たるライフスタイルセンターでありますが、ターゲットをアートやライフスタイルに関心の強い住民や来街者にシフトしたテナントミックスが特徴です。

まず、ファシリティが印象深いものになっています。代官山のヒルサイドテラスを彷彿とさせるレジデンスのようなシンプルなデザインで街に溶け込んでいます。路面分棟形式でテラスハウスのような作り。屋外にはフリースペースを多く設置し、地域住民や来街者の憩いを提供しています。

 

テナント構成は、一業種一テナント。商店街のような回遊と滞留を狙ったとのことです。買い回り性が必要なファッションも、ヴィンテージショップ1店のみです。とても洒落た試みですが、物販は固定客化が求められるチャレンジ性の高いテナントミックスです。また、これからデジタルの進展により「自宅中心の生活」になるだろうと予測。その考えに沿ってテナントを選定したそうです。コロナ前の計画だったそうですが、思ったよりその変化が進んでいますよね。

 

渋谷にあった人気ヴィンテージショップ「シアン(CYAN)」

代官山ボディメンテナンススタジオ「FLUX」の隣には「FLUX CAFE」がオープン

「FLUX CAFE」の主力メニューはプロテインを使用したドリンクとフード

 

下北線路街全体に言えることですが、SCでの常連である大チェーン店はほとんどありません。商業施設への出店と運営に長けたチェーン店でなく、個店や支店経営店舗に絞っているのも下北線路街が掲げる「支援型開発」ゆえの取り組みなのでしょう。

 

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