内田 文雄

2020 01 Jan

中国新零售の雄、盒马鲜生の状況は!

明けましておめでとう御座います!今年はできる限りブログをupしていきたいと思っています。宜しくお願いします。

 

さてここ数年中国小売マーケットは、ご存知の通り新ITと物流と小売を融合した「ニューリテール(新零售)」が拡がっています。その中でも阿里巴巴に(Alibaba)よって提唱され、新零售のお手本的な店として、生鮮スーパー「盒马鲜生(Hema xiansheng)」を中国全土に展開しています。

 

このブログを見ている方のなかでも、この盒马を見られた事がある方も少なくないと思います。昨年は一部地域で撤退した店や、店舗運営強化のため出店を敢えて抑えているとの報道が有りましたが、まだまだその勢いは衰えず郊外エリアの出店から、都心部への出店、且つドミナント戦略に移行しています。

スマホで決済する無人レジは当たり前になってきている

 

この盒马の台頭の背景にあるのは、買物の利便性を求める多くの消費者からの要求(支持)によるもの。要は家の近所(半径3キロ以内の会員)にあり、生鮮食料品や、日用品の配達を30分以内にしてくれる実用的なスーパーだから人気があるのだ、もし3キロ以外に居住する消費者には、実は盒马とてあまり意味をなさない存在なのです。

 

では現在の盒马の状況はどうなのでしょうか?業界関係者曰く、全国に店舗網を広げつつ、サプライチェーンの統合や、商品力向上に注力をしているとのこと。一昨年18年末に武漢に誕生したサプライチェーンセンター、ここでは商品供給、加工、物流拠点機能の一体化がされていて、このようなセンターが今後も全国に増設されるようです。

 

一方で、業界内では盒马のビジネスモデルに対して疑問の声もあります。その理由は?実店舗とEC、小売と飲食の両面を追うとコストが高くなる、というもの。盒马は実店舗の運営費だけでなく、配送料負担も自ら担う必要がある。また盒马の売りであるその場で食べる事ができるユーザー体験(飲食体験、スーパーでの買い物体験)レベルや、スーパー運営力レベル、の両方を引き上げることは非常にハードルが高いのではないか?というもの。

 

また盒马は上述の通り自前で店舗を増やしていく中で、立ちはだかるのが競合の大手ネット企業(テンセント)が手がける「美团点评」が手掛ける「美团外卖」(無数のスーパー、コンビニ、個人店舗、生鮮市場....と提携したネットデリバリーサービス)。中国内の無数の店舗が登録しているので、配送費は掛かるが、商品数は非常に充実しているし、価格もこなれてきています。

 

このような点を含めて、これまで新零售の雄として名を馳せてきた盒马は、戦略を調整しないと将来に生き残れる保証は無いと思います。店舗立地や客数などに応じてサービスを変化させていく、一部の店ではデリバリー条件も変えていく必要が有るかも知れません。

 

それでは!