内田 文雄
標準と非標準!
中国でVMDコンサルティングを生業として、当初はVMD領域のみを行ってきましたが、その後はVMDから繋がるSPA全体のプラットフォームである、MD、MK、SD(内装デザイン)、運営面まで多岐に渡るお仕事をさせて頂いています。
クライアントも当初のアパレル(レディス、メンズ、キッズ、雑貨)から、様々な小売業(スポーツ、ベッド関連、ソファ、オフプライスストア、EC販売運営会社...)、モール運営会社、研修セミナー会社との取組み......などに拡がりました。
中国の今の時代性とコロナ禍要因で、視頻(ビデオEラーニング)需要もあり、私の前職カジュアルブランドのSPA理論を話したビデオを販売したことで、最近はセミナーでの登壇も増えています。
昨年12月にアモイで行ったスポーツブランドの社内セミナーの模様
私が全てにおいて基本としているのは「標準化」、つまり誰もが見て分かり易い基準を決めること。アパレルだけで無くどの業種に対してもそうしています。中国で仕事をしていると「自分(個人)が基準」という考え方が、まだまだ根強く存在します。それだと当たり前ですが、その個人が部署異動になったり辞めたりした場合、その後には何も残らず、再現もできません。結果としてチームも会社も強くならない構図です。
なので、PJがスタートする前にまず着手することは?私が「クライアントの棚卸し」と呼んでいる「社長含め本部の幹部、各部門責任者のヒアリング」。大きな企業だとヒアリングだけで2日-3日掛かることもありますが、これをやらないと幹部の上辺の話を聞いたり、組織図を見ただけでは本部の実態や課題を掴めないからです。
本部の実態というのは?各部署(チーム)は何を目的(ゴール)で仕事をしているのか?具体的な業務役割は?毎月、毎週、毎日の業務ルーチンは?部内の会議体は?何処のチームと連携が強く、弱いのか?実店舗への入店頻度?部門の課題は?...などヒアリングは各部門1時間-2時間実施します。
これを行うと、実態と理想の乖離点、課題が見えてきます。各部門のヒアリングの結果、様々な課題を繋ぎ合わせると横連携、つまり本部各部門の連携が弱い(できていない)ことが分かり、その課題を潰すためにPJで何を優先順位で行うか?を分析、結論出し、そしてそれを最終PJ案に盛り込みプレゼンしOKとなればPJスタートとなります。
PJのまず最初の項目は「業務標準化」です。時間を掛けたヒアリングを元に、現在の実態と今後の在るべき標準とは何か?を説明し、幹部、部門責任者達で討論してもらい結論を出します。これが新たな「業務標準」になるわけです。
PJがスタートして1〜2ヶ月もすると事前に決めた標準とそぐわない事が多々出てきます、これはいつものことです。PJ参加者(クライアント)も標準化、基準に縛られることに少しストレスを感じ出してきます。
そぐわないこととは?
例えば...店舗ランク設定をする際に、関係者で討論した結果「店舗の月売上額と店舗面積」という指標を元に標準を決めたが、その後に営業部から「商圏や客層というセグメント指標も必要では?」という提案が出てきたりします。
例えば...SA商品ランク設定する際に、売上枚数予測●●●枚以上をS商品、●●●以上をA商品と設定したが、展示会でA商品が予想以上に発注が入ったので、さてどうする?など
これらのそぐわない事象を私は「非標準」(まずは別で置いておいて、今後再討論して判断するべきこと)と呼び、明確に分けています。そうしないと標準と混在し曖昧になるからです。それを避けるために「非標準」という新たな標準を明確にしています。言い換えると...標準が決まっている(有るから)から非標準が存在するんだと。
さらにPJが進んでいくと、当初決めた一つの標準では足りない事象が起きてきます。この時に上述の数カ月前に起こった非標準として置いておいた事象も含めて議論して、もう一つの新たな標準(二つ目めの標準)を設定して標準の修正しています。この標準化の確定にはPJスタートから3ヶ月ほど時間を要しますが、この標準を早く討論し決めておくことでその後のPJがうまく進みます。
それでは!