内田 文雄

2018 23 Apr

いま中国小売業で話題の事と言えば...NOME!

「MINISO(名創優品/メイソウ)」、中国に来られたことがある人であれば、一度や二度は店を訪れたり、実際に商品を購入したことが有るのではないでしょうか?

中国で既に2,000店舗を超える店舗網を築き、グローバル展開は数十カ国、合わせて3,000店舗とまだまだ拡大している、低価格ライフスタイル小売業です。

基本は10元(約170円)から100数十元(2,000円〜3,000円)くらいまでのプライスレンジ商品を取り扱う、日本発を謳っていますが、れっきとした中国は広州の企業です、弊社のクライアントでもあります。

一代でこのグループを築いた叶(葉)代表は40歳、中国小売業界では小売革命風雲児として名を馳せています。

ユニクロのロゴ形式、無印の商品コンセプト、ダイソー並みの価格。今やデべが入って欲しいブランドの上位に位置しています

 

その「MINISO」がいま中国小売業界で別の事で話題になっています。

要約すると...

昨年辺りから中国の広州や深圳など華東地区で「NOME(诺米)」というライフスタイルショップが出店を加速させています(18年3月現在で30店舗)。「MINISO」よりも高価格、高デザイン、高イメージなブランドポジション。この「NOME」は中国の小売企業がスウェーデン(瑞典)のデザイン会社と組んで、さもスウェーデンのブランドが中国にローンチしたかのように見せていますが、実際は中国は広州が本部の企業が100%投資したブランド、これは「MINISO」が日本のブランドのように見せて、実は100%中国資本というやり方と全く同じ手法。

先月に上海で行われたCHIC(中国服装展示会)でも、この「NOME」は出展し加盟店募集をしていました。

シックな雰囲気のインテリアデザイン。現在上海地区には1店舗のみ

NOMEの取扱いアイテム、多岐に渡ります

 

この「NOME」に対して、待った!をかけたのが「MINISO」、何故なら元々「MINISO」が昨年初めに先に商標登録していたのが「NOME」ブランド、なのに競合企業が先に同じ「NOME」ブランド名で先に出店させている事態に対して、「MINISO」が「NOME」を相手取り、商標権違法使用の裁判を起こしたのです。結果としては「MINISO」側が先に商標登録、事業登録申請をしていた事が明確で勝訴となりましたが、「NOME」側も控訴の構え。

 

同時に「MINISO」側は「NOMEは我々のブランドだ!」と言わんばかりに、先週広州で1,000人規模で加盟店を集め、今後の戦略方針会をやるという攻めの姿勢に徹しています。

先週18日に広州で行われた「MINISO」叶(葉)代表の加盟店向け戦略方針会の模様。NOのOの上のスラッシュが無く微妙にロゴが違います

 

では、何故このような裁判沙汰になったかと言うと、2016年に元々「MINISO」にいた幹部クラス数人を「NOME」側が引き抜き、その幹部たちが「MINISOが18年にNOME名で出店攻勢を掛ける事」を暴露、そして「NOME」側がブランドコンセプトを再考し、加盟店募集も行い、2017年後半から出店をスタートした。これらの事に対して、納得がいかない「MINISO」の叶(葉)代表が報復の意味で裁判を起こしたわけです。

要は、重要人材も、ビジネスアイディアも盗まれた事、面子を潰された格好となった事に対する恨みなわけです。

 

それでは!