内田 文雄
中国ライフスタイルSHOPの実態は!
米国では「EVERLANE」のようにオンラインストアに主軸を置いたブランドが、実店舗をOPENさせていることが話題かと思います、一方中国においてもECサイト運営の京東や、インスタントメッセンジャーアプリwechat(テンセント)が、ショールーミング化目的の店舗を続々とOPENさせています。
またライフスタイルSHOP(生活館)という名の店が続々とできているのも今の中国、多分に「IKEA」や「無印良品」の中国マーケットでの浸透がキッカケになり、その後「MINISO」などの中国企業が同業態で店舗網を拡大しています。そのライフスタイルSHOPで勢いがある店の共通する特徴は、「低価格」であるということです。「高イメージだが高価格」では売れないマーケットであると断言できます。
商売のやり方も、いわゆる委託販売形式(在庫リスクはサプライヤー負担)が主流になりつつあります。もちろん「MINISO」のようにオリジナル製品も多いブランドは、完全買取を謳ってサプライヤー(供应商)と一蓮托生で良い物作りをしている企業もありますが、店を期間で区切り場所貸しをして、商材は4〜5週間タームで商品を入れ替えていくスタイルの店が増えています。契約形態は様々ですが、ブランド本部が売上の60%〜70%、残りをサプライヤー側が取る形が多いと思います。
この売場の約80%が委託販売商品
LEGO風ブロック売場、売場の什器、VMD表現もサプライヤーがデザイン、実施
39元(約640円)この店のオモチャの中の売れ筋No1.
また店にショーウィンドーがあれば、このブランド本部がディスプレーをするのではなく、サプライヤー側がデザイン、施工、プロップス製作、実施、撤去までを行います。
ブランド本部側にとっては、店舗運営に掛かる人件費(商品の入れ替え作業もサプライヤーが契約した業者が担う)、様々な経費、手間暇を削減できるわけです。
ただブランド本部側はそれに見合う集客力のある館や、チャネルに出店する必要があり、家賃が上がっている中国マーケットに於いてはその経費は馬鹿になりません。なので、ブランド本部側だけが一方的に儲かる仕組みではなく、少しでも利益幅を担保すべく上述のようなサプライヤーとの取引が成立しているのです。
サプライヤーにとっても、量を売る先と契約することができれば、商品の売れ方動向やどのようなお客さんが購入しているか等の情報もブランド本部側から共有があり、その情報を次の商品開発に利用できるという旨みもあります。
中国の一般的ライフスタイルSHOPの通り扱いアイテム
また、集客策として日本の店舗でもよく見る、その場でポラロイドタイプの写真をプリントできる機器や、お客様が大きな画面に投影されその模様がプリント可能な機器なども、サプライヤーから購入するのではなく無償で店に貸与され置かれています。これもサプライヤー側が機器を利用したお客さんの個人情報データ(携帯電話番号、メアド等)を獲得するのと引き換えに無償になっています。
善し悪しは別として、今の中国の商売は需要と供給のバランスが取れたこのような取引関係が成立しています。日本から中国進出される(または既にされている)ライフスタイル業態の企業さんは、中国マーケット実態をしっかりリサーチ&ヒアリングされることをお薦めします。
それでは!