内田 文雄
Superdry中国撤退!
日本では既に報道済みかと思いますが、英国ブランド「Superdry」極度乾燥(しなさい)が、4年間の中国での店舗展開を終えて、来月7月に完全撤退することになりました。
2016年に中国アパレル企業(ochirly、Five Plus、TRENDIANO、MISS SIXTY、10corso comoなどを展開する広州が本部のTrendy グループ)と合弁を組み、中国大陸にローンチ、上海、北京、深圳などの中高級モールへ出店(66店舗/直営店25店、FC41店)、ECではT-mallへも出店を仕掛けましたが、4期連続の赤字(16年2億円、17年2,8億円、18年4億円、19年4,9億円)に耐えきれずに、このたび合弁解消と撤退を判断したようです。特に今年の上半期のコロナ禍が拍車をかけたのは間違いありません。
「Superdry」本国CEO(Julian Dunkerton氏)のコメントによると、「この4年間の経験で中国にはある一定のファン層はいることが分かった、残念ながら店舗撤退はするが中国マーケットは無限の可能性が有る。今後はECでの販売と、卸販売は継続させていく方針」とのこと。
今現在は5月末あたりから各店舗で大幅な割引販売が行われています。16年当時あのベッカムも着用しているブランド!ということで一時の人気が出たものの、長続きはしませんでした。不評要因は幾つか挙げられると思います。「Superdry」はVintage感のある、フルアイテム展開のカジュアルブランド。
購入ターゲット層と高価格のバランスの悪さではないか?と思います。Tシャツで(300-400元/4,500円-6,000円)、長袖シャツ(800元/12,000円)、ブルゾン(1,500元以上/22,500円以上)、この価格帯だとターゲットは中産階級以上だと思いますが、これらの層がこの雰囲気の少し派手なカジュアルファッションは購入しないのではないでしょうか?逆にこれより若い層(90后)には高すぎて買い辛い価格。同時に本国との価格差が2倍近くあるのも、消費者からは見透かされています。
この価格帯だと、更に著名な海外ブランドを越境ECで購入できる事もあり、一部の層に支持されるも大きくHITしなかったのだと思います。更にこの「Superdry」の動向(雰囲気、価格帯)に似ているブランドが、米国のアバクロ、今現在も無理な出店政策はとっていないものの、店にはお客さんがほとんど入っていません。
ここ3年間で、TOP SHOP、New Look、Forever21、OLD NAVY、ESPRIT...など、欧米のブランドが撤退の憂き目にあっている中国マーケット(某日本ブランドも6月末で中国完全撤退の情報も有ります...)、デザイン(Basic含む)、価格帯、ライフスタイル感...など何か特徴があるブランドで無いと生き残っていけないですね。
それでは!