内田 文雄
私が中国で起業することになったキッカケ 16!(日系企業との取組み編)
2012年は当初計画通り以上に、中国アパレル企業との取組みが多かったのですが、その後某日系大手「O社」との取組みがスタートしました。
いわゆる原宿系ブランドの中国での拡大に伴う、新たな内装インテリアディレクションとVMDチーム構築、その教育、そして週次会議の運営、方針出しが円滑に回るための指導という内容でした。その後は同じ「O社」のその他2つのキャリアブランドにも領域を広げ、計2年間取組みをさせて頂きました。その後同じく「O社」の香港での売場の標準化と週次商売の基本を1年やらせて頂くなど、「O社」の皆さんには3年間に渡り大変お世話になりました。
この頃は日系アパレルブランドも「MSL社」の「S」というブランドを筆頭に、日系レディスアパレルブランドが人気を博していた時代であり、各社上海、北京の1線都市だけでなく代理店政策を強化し2線都市にまで店舗網を拡大していました。
では現在はどうかというと、残念ながら当時の勢いは衰えていることは否めません。その時代は、ストリートフォーマルテイスト、フリルひらひらとか、ガーリー系、ふんわりちょっと可愛い系、とか、日本ブランド特有のデザイン要素が女子達に好まれ、もてはやされていたと思います。或る意味そのブームは過ぎた感がありますね。
1号店ローンチ、テーマは「Wear Freedom」
2013年には古巣ユニクロの姉妹ブランド「GU」との接点があり、上海に1号店をローンチするということで、オープニング売場プランニング、本部/店舗付けVMD担当者達の教育育成、売場標準化と週次の売場作成..に携わりました。1年目は上海の2店舗を週次で入店し商品計画を元に売り方(販促、プロモーション)を繋げ、売場を編集、修正させていく、という内容。
ユニクロを離れて3年が経っていましたが、ユニクロ流といいますか、週次商売の在り方、言い換えると商品を売るのではなく「売り込む」というスタイルは「GU」も同様で、何か懐かしい感じがしたのと、そのやり方に間違いは無いということを確信しました。
オープニングの際、起業(ユニクロ退職後)後初めて柳井会長にお会いし、「GU」の1号店売場を褒めて頂き、中国での起業について叱咤激励の言葉も頂けたことは非常に嬉しかったですね(ユニクロ現役時代、叱られた事は数知れず、褒められた記憶がほぼ無いので...笑)
2年目は中国事業だけでなく、日本本体の事業にも関わるようになりました。東京のいわゆる標準店で毎月開かれる売場検証会に参画して討議したり、商品系の会議(一点、各色)への参画、今後のグローバル体制に向けてお膝元である日本の売場標準作成、マニュアル化...などが主な内容でした。物事の決まり方、プロセスはユニクロと同じですが、購買層が若いブランドだけに本部各部門メンバーも若く活気があり、会議では緊張感もありつつ、笑いも有る(経営層の会議の雰囲気作りもその一つ)というアットホームさを感じたものです...笑。
と言うことで、その当時ほぼ毎日中国クライアントの中で揉まれていましたが、この「GU」を支援させてもらうことで、日本流と言うか、日本企業の良さ(PDCA思考)、商売の魂的なものを、再び学ばせて頂いた貴重な時間でした。
計16回に渡り回顧録的に徒然と書かせて頂いた「私が中国で起業することになったキッカケ!」ですが、今回で終わらせて頂きます。
最初のキッカケは1993年の上海への語学留学を皮切りに、海外関連の仕事に携わる中で芽生えた中国での起業の夢、常にその事を頭のど真ん中に置き仕事をしてきました。失敗した事も多かったのですがそれもその後のためには良い経験でした。
次のキッカケは44歳で起業ではなくユニクロへの転職、周りからは猛反対に会う中、背中を押してくれたのは家内でした、それは50歳になっていざ本当に上海で起業する、と言った時も同じでした。色々マイナス面は言わずに私の夢を理解して支えてくれた彼女には本当に感謝してます。
そして最後のキッカケは、何と言ってもユニクロでの約7年の経験です。偉大な経営者でもあり「真の商売人」である柳井会長に出会え、仕事を通じて色々なお話をさせて頂く中で、ますます起業したい、いや有言実行、起業しなければならない、という決意に繋がりました。
中国に住み、中国に根付いて仕事をすることは、日中間の政治的な事も深くつきまとい、正直日々苦労が絶えず、あと何年この地でVMを生業にコンサルの仕事を続けられるかは分かりませんが、身体が動く限りはずっとやり続けたいと思っています。
1995年1月17日、阪神淡路大震災の時、私は神戸に住んでいました。借りていた家は半壊、多くの方々が亡くなった未曾有の大災害を経験し、「私は生かされている」とずっと感じていました。一度限りの人生、悔いの無いように生きていきます。
最後に、いつも色々と支えて頂いている、先輩、後輩、お友達の皆さん、本当にありがとうございます。取り敢えず、明日のお仕事を愚直にやっていきます...笑。
それでは!