生地 雅之
新宿伊勢丹メンズ館
3月16日(土)にリニューアルしました掲店に行ってきました。
「素晴らしい」の一言です。時代に合わせてのラグジュアリーの強化、売場面積を少し削ってでも空間を増やしています。社内の混乱をよそに、売場や現場の社員はお客様に向いています。伊勢丹メンズ館の意思がしっかりと表現されています。
王道を歩みながらの挑戦もしており、挑戦のなき小売業などは「無用の長物」なのです。「現状維持は後退」と同義語であり、失敗の可能性を限りなく小さくした最大なる挑戦を模索すべきなのです。
一例を挙げれば、売上の苦しく見えるラルフローレンでも、ブランドの価値を壊さず表現しており、百貨店という場所貸しの環境の中で、お互いの持つ味の相乗効果を出しています。
後は「数字が追いて来るのか」という結果待ちなのです。最近はOPEN時の勢いが即薄れ、継続できない状況も多く、大昔の3年、1年、最近の3か月も持たなくなりつつあります。先週のブログの恵比寿三越も初日(平日の前年比)150%も、リニューアル2週間で、前年の90%程度との声も聞こえてきています。メンズ館は「失敗をしていない」ので、そのようにはならないとは思いますが、、
子のリニューアルの失敗を小さくするためにも、仮想空間のバーチャル・リニューアルを実施すべきなのです。サイト内での新売場提案をTRY&ERRORしながら、リニューアルの模索が出来るのです。リアルは伊勢丹メンズ館でさえ、前回のリニューアルから10数年経過しており、数十億をかけての失敗などは経営視点から言っても、本来許される筈もありません。
しかし、リアルの売場では実験(失敗)が出来ませんので、サイト内での新売場を仮想空間で実験すべきなのです。例えば、リアルの売場は一般的に十年一日のごとく、カテゴリー売場であり、今回のリニュールでさえ、スーツ売場や靴売場といったテイスト軸を混載にしたカテゴリー売場が残っているのです。ライフデザインやシームレスと名前を変えてもスピリットが無ければ意味を成しません。
サイト内で「テイスト軸によるライフスタイル型売場(お気に入りのモノ・コトの中での居心地の良い空間)」などを構築し、お客様の買い回り行動はサイト内で十分検証できるのですから、それをそのままではなくリアルへアジャストして見直しし取り入れるべきなのです。このTRY&EROORを模索出来る事がシームレスの根本ではないでしょうか?
百貨店の売場編集方法は3タイプあり、ブランドに付いている顧客はブランドショップが移ればそのお店にお客様が追いてきます。そのブランドはラグジュアリー位です。
ショップとブランドのコラボは、お客様がその店が好きで、その中で自分に合ったブランドの商品を選んでいるので、隣の店にある同じブランドの商品を買いには行かないのです。
その店が閉店になった時の周りの顧客は「この店が無くなるとこれから自分の服が買えなくなる」とインタビューで答えられている事も結構多いのですが、実は隣の店にはそのブランドは存在しているのです。その他、店が好きでその中にあるものならブランド関係なくOKとの認識のお客様も多数いらっしゃいます。
百貨店はこの顧客分類をして、ショップ展開、コーナー展開、平場展開に区分しているのです。その区分バランスもお店の特徴が出せるのです。
ショップ展開とはラグジュアリー系が多く、コーナー展開ブランドとはお店が好きでその中でのブランドは23区やインディビ等であり、ブランド認知が低い必需品的カテゴリーなどは靴売場、バッグ売場等の平場展開が多いのです。
コーナー展開ブランドでは、消化と言えアパレル側は展示会発表のすべての品番を展開はしていなく、お店毎の顧客に合わせた商品展開をしているのです。
現在の百貨店が触れるのは、販売員が割と自前の多い平場であり、それ以外は全く口出しできていないのです。
よって、百貨店の力を発揮できるのは平場とブランド力のないアパレルの商品による自主編集売場なのです。
新宿伊勢丹にはラグジュアリーの垣根を払いたいとの意向があるのですが、現実はその力も失いつつあり、実現は難しくなってきています。新宿伊勢丹のラグジュアリーの垣根を払う事が新宿伊勢丹のお客様にとってベストかは疑問ですが、それは自店のお客様にそうなってほしいとの意思の表れなのです。
要は百貨店が売れなくなっているのは同質化の一言で決めつけるのではなく、もっと彫り込んだ分析で、「自店のお客様に満足して頂くには何が欠けているのか」を真摯に突き詰める事が不足しているのです。
その不足部分とはマーケティング力以外にはないのです。自店のお客様がここにいると考え、MDコンテンツ(モノやコト)を企画・創造し、それに向けたプロモーション等でリーチしているのですが、結果が出ていないのが実情です。優れたMD力があり、それに向けた的確なプロモーション力はあるのですが、根本は自店のお客様が見えていないのです。だからずれているのです。
現在の企業で売上不振の原因をどう見るか?他者(天候や気温、震災等)要因にするか?自者要因とし、自分で出来る事を見つけ精度を高めるようにするかで、全く異なるのです。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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