生地 雅之

2019 08 Apr

恵比寿三越

3月28日に前日の27日にリニューアルオープンしたばかりの表記の館に行ってきました。

お客様目線のコメントであり、事情は忖度したものではありませんのでご了解ください。

 

ともかく酷いブランドリレーションです。このような立地の百貨店は埋めるだけで精一杯なのか、三越伊勢丹らしくないリレーションです。

勿論、カテゴリー分類がすべて正しいと言っている訳ではないのですが、アイテムにより、またはブランドショップはブランド力の有無によっては異なるべきなのですが、、

前年より完成していた1Fの化粧品はカテゴリーで纏められており、今回のB1Fの子供服やB2Fの食品もほぼカテゴリー分類のみの区分です。

 

三越伊勢丹ですから埋めるだけで精一杯ではないとは思いますが、大人のファッション系はどうしたのでしょうか?

百貨店系ブランド(価格も品質も)の横や前に、それより少し落ちるブランドの配置が散りばめられ、同グレード感の目線ではとても見られたものではありません。

雑貨を強化した程度の「コト」提案ブランドショップを、グレード感を無視して配置しただけにしか見えません。

そのようなブランドが悪いと言っているのではなく、ターゲットが異なり、彼らの買い回る傾向を見ていなく、展開方法が自店顧客に合っていなく、新規を獲得するにも適していないと映るのです。

 

例えば、マッキントッシュフィロソフィーの向かい側にドッグデプト、横にアーバンリサーチドアーズ、その横にラルフローレン(初夏オープン)、向かい側にコントワーコトニエ、奥にはポールスチュアート(メンズ&レディス)、プランテーション、トゥモローランドに囲まれたバナナリパブリックとは、自店既存客をどう把握しているのでしょうか?

 

 

近々に中止予定のBPQCが1F正面入ってすぐの左側に配置され、即雑貨売場、奥は化粧品と、自社PBや自主編集売場を大切にするのは当然ですが、「この売場が最高なので、他のカテゴリー(婦人服なら他の婦人服ブランド)は比較する必要無し」なのか、ファッション系はB1Fにあり、自社PBや自主編集売場の目的買い以外は見捨てているようです。

 

そしてオープンに間に合わないラルフローレンは後で決定したのか、FBやSCの特許的であった「リニューアル日にすべて開店していないというのでも仕方がない」との意識が百貨店も生まれてきているのでしょうか?

この件がすべてでは無いのですが、百貨店と他の商業施設との差別化とは?

 

初日は前年の50%増程度らしいのですが、2日目は昼過ぎでも食品売場以外は既にガラガラで、販売員の方が多く見受けられました。

土日型(売上比率が平日5日よりも土日2日の方が高い郊外型の百貨店やSCによくあるパターン)売場と言え、どこまで投資に対する回収が見込めるのか見当もつきません。

 

 

この店には数年前からリニューアル案があり、当時の店長は「恵比寿が首都圏での住みたい街ベスト10(その時は9位であり昨年は2位)に入ったので、そのウオンツを引き出し、恵比寿初・発を増やし新宿や渋谷から新規のお客様を取り込み、リニューアルを成功させたい」との意思をお持ちでした。

 

小職はその方向性に異論がありました。つまり「住みたい街アンケート」に住みたいと回答した方が5年後、10年後にどれだけの人が実際に住んでいるのかを考えると5%もいらっしゃらないと推測できるからなのです。

「やりたい、なりたい」と「やれている、なっている」とは大きく異なるのです。

 

よって、「既存客をもっと大事にすべき」です。

既存客は精一杯やっているので、既に取り切れていてこれ以上伸びないので、「他人の芝生は青い」と新規に目が行くのはいかがなものでしょうか?

新規客獲得を否定している訳ではないのですが、まずは、もっとやれることから、、

 

手順は、既存客に来店回数を増やす、1件当たりの購買単価の拡大を狙うべきでしょう。

その後、同じMDで周辺の取り切れていないお客様(新規)を見つけリーチを掛ける事。

その後、初めて違うMDでの新規客を狙う順番ではないでしょうか?

 

小職がリアル・コンサル(MD、DB、店頭の改善施策)で実施しています店頭改善施策の「現状の売場、商品、販売員での売場手直し=売場再構築」を2時間程度実施するだけで、ほとんどのブランドショップや平場等が20%以上(最高+100%)の前年比良化している事は現状精一杯やっていると言えるのでしょうか?(弊社のアナログ型ECコンサル=ビジョンと儲かるか否かの目線は別途)

「精一杯やっている」と言われている店の方が手直しすると伸びが高いのは不思議ですが、、

 

話を戻してその後、本部がMD図面を引き、当時の各商品統括部長は店を幾度も見に行くにつれ、その内容に異論を示す人も多かったのです。

その声を聴き、当時の社長(勿論、他の取締役クラスの幹部にも同様に)にMDを見直すべきではないのでしょうかと提言していましたが、経営戦略会議で答申が終わっているので難しいと進みませんでした。

 

しかし、「まだ数年先の話でもあり、店長を含め商品統括部長の数人も違うと意見を出しているので、半年延期になっても見直すべきではないでしょうか」としていると漸く見直しされようとした矢先にあの事件が起きたので、頓挫したままスルーされていたのです。

 

勿論、小職は図面を見ているのではないのですが、「現場の幹部がそこまで思い描いているのであれば、一度見直す事もやるべきではないでしょうか」との提言をしていたのです。

「朝礼暮改どころか朝礼朝改も辞さない」フットワークの軽さも業界には不足していると思えるのです。「違う」と感じた幹部も上程出来ない環境や本人の意思にも課題はあるのですが、、

 

その後、新社長が見直しし最終確認はされたと思いますが、蓋を開けたら小職の見方ではこの状態です。

「結果がすべて、数字がすべて」ですから、もう少し評価は先になるでしょうが、、

「誰も責任の取らない決定に意味があるのでしょうか?」、どこかの閉店店舗のように本部で決めた図面のリニューアル後に異動した店長が、責任を取るような形はいかがなものでしょうか?

 

過去からブログにも記載のように、主要都市型駅前好立地店はFBジョイント型で、名古屋三越&ラシック、名古屋高島屋&TGMのような同じエリアの違うターゲット顧客を狙ったMDが必要不可欠であり、そのエリアに在住のお客様はすべて百貨店顧客ではないのですから、百貨店勤務されていらっしゃる方でさえ、

小売業の約4%しか百貨店の売上が無いのですから、

 

この恵比寿三越も4層とも中央エスカレータの前か後をFB型(縦割り)にするか、上層階2層(横割り)をSC型にするかで、FB部分のMDはアトレ恵比寿クラスが妥当なのです。

勿論同じブランドは入らないでしょうが、FBやSC向けブランドは沢山存在しているのです。

地方都市型駅前好立地店ならSCジョイント型で、モール型ファミリーブランドと飲食と駐車場の強化が大前提ですが、、

ストア名の看板はどちらにしても2種必要ですが、百貨店とFB看板か、百貨店とSC看板に、、(FBとSCはターゲットの違いがあるので)

地方店なら駅前立地のSCもこれから増加してきます。

数年前OPENのイオンモール岡山店のように、広島の福屋駅前店もこの方向が妥当ではないでしょうか?

 

 

例えば、半分は「ラシック恵比寿店」であり、地下で繋がっているので雨に濡れないでの来店も可能(もっと駅からの通路にも告知を)です。

三越が運営しているのは知っていらっしゃるので、アトレ以上の対応を期待しての来店も見込めるのです。

福岡三越のようなラシック1層程度で看板も上げていないような中途半端な状況にはしないでの話ですが、、

この内容を当時の社長に提案していたのです。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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