生地 雅之
GMSの将来はECの完成度に尽きる
GMS業界は、昨年まで厳しい環境下に置かれ、今年もコロナで食品以外は追い打ちをかけられ、業績が悪化している企業も多く出てきています、何故食品以外が苦戦しているのでしょう。
食品は必需品であり、食べないと死ぬのであり、衣料品やリビング商品は今しばらく購入しないでも生きられるからなのです。では、衣食住ともに安定成長させる方法はないのでしょうか?
GMSのECは前回のブログのようにテイスト軸ライフスタイル型PBサイト構築と、既存のカテゴリー別ECサイトのUI(買いやすい画面構築)の併用により10倍を目指す事も可能です。しかし、日本国内でのGMSのパイそのものが大きくなる可能性は低いので、同業他社のパイを奪う事を目標とすべきなのです。
同業他社の小さいEC売上を獲得してEC化率10%にすることは至難の業ですので、まずは他社リアルのお客様を自社リアルに取り込み、自社リアルにお客様は自社に慣れているので、出来る限り自社ECへ誘導する事なのです。自社リアルのお客様を先に自社ECに誘導すると自社リアルの減少の補填が効かなくなり、売上はリアル+ECで現状維持なのですが、ECの経費が増加になり意味がないのです、
他社リアルのリアルの獲得はいままでも実施しているので、これ以上難しいとの声も聞かれますが、前回のブログのような施策を具現化すればそう難しくはないのです。
欧米でもEC化率は30%になろうとしており、日本においても20%を超える企業も出てきています。しかし、GMSのEC化率は1%程度に留まり、どうして良いのかが見えていない状況です。
GMSや百貨店、専門店、アパレル等もEC化率が伸びないとの言い訳は沢山聞こえるのですが、根本的問題は経営者が真剣にビジネス構築していない事に尽きるのです。EC化率10%を最低目標とするならば第二の柱であり、部下や外部に丸投げで出来る筈もないのです。
最近はインスタグラムやインフルエンサー礼賛記事が多いのですが、如何に売上に直結しているかはなはだ疑問です。サイト訪問者は増えるのですが、直帰者も同様に増えて、非直帰者数はほとんど変わらないのが実情です。
SNS等も含め、効果計測が課題ですが、ECサイト全体のSNSでの訪問率はわずか1~4%程度であり、そこのCVRは通常サイトのCVRとそう変わらない(普通はその半分程度)ので、経費との見合いが不明なWEB広告に経費を使っている事に気が付けばもっと効果の出る施策にシフトできるのですが、、
経費実態はわかっているが、現場が先行投資と判断して継続しているケースも多いのです。
先行投資という言葉を現場が使っている事に問題があるのです。経営者のみ使用すべきでしょう。
現状優先すべき施策とは?サイトでは新規顧客獲得よりもCVRが1~2%程度になんなんとしている事に目を向けるべきでしょう。
CVRが上がらないから、新規獲得に目が行くのです。どれだけの広告費を使わないと、、
CVRの1~2%を4~5%にする施策(UI=買いやすい画面構築+サイト離脱防止)の方が必要であり、訪問者数が月5万人以上もあるサイトなら、優先順位はこちらなのです。
何故気が付かないのか?まずは自社サイトの実体を把握してから、「やるかやらないか」を決めるべきなのです。自社サイトの実力を経営者もEC担当者でさえ把握できていないのです。
それを営業感覚がある責任者なら、目先の売上・利益を放置して、将来サイトに帰ってくると 思っての施策(どれだけ帰ってくるかの目標と結果計測のない予定)を否定されるのですが、、
目先を稼がないと将来はないのですから、事業とは現状の先に将来があるのです。
既存顧客対応は精一杯やっているから、あとは新規と考えている事に問題があるのです。
新規顧客獲得の経費は、既存顧客をロイヤルカスタマーにすることよりも4~5倍掛かるのです。
まずはサイトに来店されている人で既に買って預いている人に、「幾度も、いくつも」買って預き、
サイトに訪問されても手ぶらで出られる人に「1回でも、1つでも」買って預ける新規購入者を
増加させる事を優先すべきではないでしょうか?(リアルにも置き換えてください)
NEWSやCOMMENTは「本当か?」と疑って読んで預きたいものです。
EC事業の成功への道は、
1.トップ自らがビジネスモデルをどうするのか(アナログで)を真剣に考える事
2.店頭のSKU管理が100%出来ていても、倉庫在庫の考え方を基本と考える事
3.自店顧客のニーズをどのように掴んでいるのか?顕在需要と潜在需要の比率の把握
4.自店顧客ニーズをどのようなチャネルでお伝えするのか?(リアル、紙面、画面からの手法)
5.お気に入りにして頂くテイスト軸ライフスタイルPB化(同一PBでのサイト専用商品展開)
6.カテゴリーや単品、ブランド名から入るサイトでは価格の比較に流れるのは自明の理
7.サイト名を知らないサイトはそこまで辿りつかないので開かない(越境ECなどはNG)
GMSやアパレルや百貨店、専門店などは一般的な顕在需要サイトで、ブランドやカテゴリー、アイテム、商品からサイトに探しに来られるのです。よって、判り易いモノサイトから入っているのが現状なのです。将来はお気に入りサイトの位置づけになるように、、
GMS顧客はまずは食品目的でお店に来て、その顧客を如何に衣料品売場やリビング売場に誘導できるのかが課題なのです。そして「何を提案しているのか?」気に入った提案があれば購入され、無ければ買わずに帰るのみです。ご自宅から買うものを明確に決めて来店される人以外の獲得がなければそうリアルの売上拡大は出来ないのです。
当然そのGMSがお気に入りになっているのです。しかし、GMSは総合小売業であり、なんでもあるが混載で、商品だらけで探すのが大変なのです。
このような状況で売上が低迷している(今年のコロナ後の復活も期待できる)のですから、売場リニューアルにはお大規模な投資が必要であり、その後の継続も長くは続かないのが実情です。よって、サイトこそ大規模な経費を掛けないリニューアル(TRY&ERROR)が可能なので、サイトで理想の売場構築の検証をするサイト・リニューアルが必然なのです。勿論「どうあるべきか?」が先に必要ですが、、
このような基本を真摯に認め、サイト構築ビジョンを明確(たとえば当面EC化率10%)に設定し、既存事業(リアル)の売上は維持向上させながら、+にて10%以上のEC売上を目指すためには、店に売上を付けるなどはナンセンスであり、ECを1店舗として自ら売上と利益の目標を持ち、それに向けて積み上げていく事が望まれています。ビジネスをどうするのかが優先され、システム等の構築などは後の話なのです。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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