生地 雅之

2022 10 Oct

イオン幕張新都心=LOWYA

9月23日にイオンモール幕張新都心のイオンスタイルの中の住居関連売場(ホームコーディ)の中に、家具メーカーのベガコーポレーション(北九州市発のEC販売メイン)とコラボしたテイスト軸による売場がOPENしました。9月25日(日)夜も含め、数度見に行ってきました。3Fの専門店側の入り口に大きな「LOWYA」の看板を出し、イオンサイドがテイスト別と称しているグルーピングの売場が一つ一つは小さい面積で多く(13も)存在しているのです。いままでの単品売場からは大きな進歩と言えるでしょう。

過去からテイスト軸によるライフスタイル型PB(無印の様な衣食住1ブランドで=MUJIの衣料品の完成度は低いのですが)を唱えている小職から言えば、取り敢えずの第一歩と評価できるのです。見た目はコラボというより、売場にベガ提案(編集)売場を導入されたように見えるのです。イオンがテイスト軸を編集できるなら、「LOWYA」ブランドではなくても、自社ブランドでも十分に構築できるのです。テイスト軸の編集が可能な外部を使えば。自社の力を規模が大きい事以外も信じる部分が存在すると思うべきなのでしょう。

但し、テイストはイオンのホームページを見ても13分類もあり、様々なネーミングが付けられているのですが、売場で各テイストの商品の塊(売場)を見ても、そのネーミングがなければ誰もそのネーミングを想定できる人は不在なのです。また、13分類の商品を単品に組み込むと単品から13テイストに区分できる人もまた皆無なのです。売場やホームページを見ても、要はテイストを区分し過ぎるのです。

メーカーの企画担当者は良く商品を認識されているプロなのですが、お客様はそのような細分化された分類は全く理解に至っていなく、不要なのです。要は売場も商品も「お客様の立場」にはなっていないのです。良くTOPクラスの某百貨店のMDが、婦人服の分類やECのネーミングを区分しすぎて、何の意味か不明で、自社・自店のお客様に伝えられていない(マスターベーション)事と同様なのです。

食品売場は単価が低いので、10円程度他社・他店の方が安くても、移動してまで買いに行く事は僅少なのですが、食品でも他社・他店よりも高い商品が多いなら、基盤をその他社・他店に移し、その店で少し高い事を我慢されている購買なのですが、衣料品や住居関連商品は即でなくその日でなくても良いアイテムも多いので、その場で買わずに熟慮されての比較購買になるのです。よって、食品出身の方が売上額も多いので、出世されてその感覚での判断がその差の認識なくされる事が多い事も課題が存在するのでしょう。

まずは大きく2分割程度にすべきで、このどちらかを選んで頂ければとの提案にすべきなのです。店頭販売でもそうなのですが、お客様は1つのアイテムの商品は多くても3つ位の中から商品を選んでおり、4つ以上出すと迷い過ぎて何も買わないで帰られるのです。ベテランの販売員はその事を理屈では認識していなくても、3つ提案した上で、「あれも」と他の商品を要望された場合は、お客様にとって一番認知(評価)が低いと思われる1点を上手に隠す(見せない)のです。常に3点以上お客様の前には出さないのです。多い(3点以上だと)と選べないのです。

よって、上記13テイストの分類はお客様には伝わっていなく大きく2~3テイスト位に絞り込み、「あれもこれも」ではなく、「あれでなく、これを」に絞り込む必要があるのです。テイスト軸に向かっている事は十分評価に値するのですが、どのようなGOAL(あるべき売場の理想目標)がなく、現状からどのようにその目標に向けて進むべきなのかのビジネス構築のフローチャートがないように映るのです。要は現状の把握(自社・自店の)お客様が見えていないのでしょう。ここをクリアできればセブン&アイGとほぼ同じ売上があっても、利益額の大きな差は十分埋まっていくものと考えます。

マーケティング不足は否めない事実なのですが、自社・自店の顧客データは自社にあるのですから、解析の角度、つまり何の為に、どのようなデータが必要なのか?が明確ではないのです。明確であれば現在のデータでは何が必要で、何が不要で、何が不足かを鑑み、不足データを取得し、不要なデータに惑わされる事のないマーチャンダイジングに向かうべきなのです。買わないお客様はお客様ではないのです。買う可能性があると捉えるのは間違いで、結果買って頂いて初めてお客様になるのです。よって、買った人のデータ以外は当面不要なのです。

1.    自社・自店で衣食住全て購入されている人の囲い込み(完全既存客のリピーター化)
2.    自社・自店で衣食住の一つか二つのカテゴリーを購入されているお客様に残りのカテゴリーを購入頂く。     (カテゴリーの新規顧客=但し、同じお客様目線での衣食住の商品構成が前提ですが、)
3.    上記既存MDを変えないで、自社・自店に来店されていなく、購入されていないお客様へのアプローチ(店としての新規顧客=他社からの獲得=プロモーション重視)
*上記3までは既存のMDを変えないでやれる範囲(まずやるべき業務)です。

4.  次に狙うべきは、親が自社・自店での購入に慣れていらっしゃる(生活基盤が自社・自店の)顧客のお子様であり、常に自社の商品で生活されている人を囲い込む事。
5.    また、その孫迄を意識して、ファミリー(家系)三世代丸ごと(三世代目は小さい子供なら二世代目が購入)確保すべきなのです。
*FAMILYは常に、自社・自店での買い物や商品を目に触れ、慣れているのですから.、

*上記4∔5は既存MDの追加(次世代向けMD構築)​​​​​​が必要不可欠であり、マーケティングの見直しから、新規商材の開発、新規仕入先との交渉もハードルが高いのです。(優先順位は上記既存MDでやる事よりは、当然後になるのです)よく、1~3の既存顧客は精一杯取り込んでいるから、4~5に向かう事も散見されますが、実はまだまだ1~3に伸び代があるのです。上記のように既存顧客のデータは潤沢にあり、活用されてはいなく貯めるだけで解析のされないPOSデータの無駄も勿体ないのです。

売場に話を戻して、テイストの集約(出来れば2つ以内に=二者択一)し、ネーミングを判り易く付け、日本語でなくても構わないのですが検索しないと判らないのはNGです。読めない英語や仏語、漢字はNGですが、もう一つは1テイストの売場を大きく構え、一目瞭然に説明なく判るようにすべきです。

特に字はそう読まないので、色区分が重要と思われます。何故字を読まないのかは、トイレの男の人形マーク(黒か青)と女性のスカートのはいた人形マーク(赤)を逆に塗り替えると殆どの人が間違って入るのです。如何に形や字よりも色の判断が多いのかを示す事例なのです。(男女両方黒もあり、その場合のみ形を見ているのですが)上記テイスト軸ネーミングも色替えが重要です。

店頭商品の購買についても、AIDMAもそうなのですが、形、色、素材(手触り)、サイズ(使い勝手)、価格の5つのPOINTがあるのですが、一番先に目に入るのは遠くても色であり、近くに来て形、触って見て素材、サイズ合わせしてサイズ(大きさ)、そしてVPを見て、10000円位に見えると思ってプライスをみると8900円なら購入される可能性もあるのですが12000円に見えたのならまず購入されないでしょう。

価格が重要なウエイト(5項目の中で仮にシェアが80%を占めても)ですが、一番最後にジャッジされる項目(ハードル)なのです。要はVPは売れ筋の一番目立つ色にすべきなのです。余り在庫のない見せ筋の特殊なデザインの商品を飾って目を引いても、そのベーシックカラーの商品の在庫がないのであれば全く売上・利益にも繋がらないので、売れ筋の目立つ色を飾る事がビジネスに繋がるのです。ビジネスとは常に売上・利益を追求するための商品仕入や開発に尽きるのです。

また、編集売場の単品が単品売場になく、一物2か所展開にすべきなのです。ビジネスは「如何に少ない品番で如何に高い売上・利益を確保する事」が基本であり、SKUの削減も含め、勿体ないの一言です。コーディネイトで表現しても、お客様が購入されるのは「1点買い」も多いので、買って帰って他の商品よりも見劣りするならコーディネイトで売る事は継続出来ないのです。

単品の力が他よりも勝っている商品をコーディネイトで、売場をより見やすく買い易く表現するべきなのです。まずは単品力の磨上げ(ブラッシュアップ)が必要かつ重要なのです。基本は十人十色時代から一人十色時代に変化しても、テイストの変化は少なく、個性を出して表現されるために「マスで作って、カスタマイズで売る事」が必要なので、カスタマイズで売るためにコーディネイト提案が必須なのです。コーディネイト提案をするために、テイスト軸の区分が不可欠なのです。すべてお客様に向いて一線上に繋がっているビジネスなのです。

また、既に店に来られていると言う事は、「自社・自店に来店している」を認識されているので、企業カラー(例えばWINE)や売場カラー(例えばNAVY)に捉われずに差別化のために全色使っていくべきで、常に自分の家の家具はこの(例えば)緑の売場で購入し続けているので、これ買えば自宅の商品に調和して、違和感のない積み上げ方式で、購入されていくのです。

衣食住の同テイストは同じ色にすべきであり、その色で購入された商品・ブランドが次シーズンになくても、その色の売場で購入されたとの認識を持って頂き、商品やブランドが変ろうがその売場で買えば安心という認識を持っていただくべきなのです。編集売場名も同様ですが、「ビジネスとは利益額・率の高い事業の拡大と利益額・率の低い事業の縮小の徹底」以外にはあり得ないのですから。

食品や衣料品に比べ単価の高いリビング商品では特に、ALL買い替えるのは、結婚されるか独立(転勤や独り住まい)される時に多く、その時に黒物も白物家電も一緒にまとめ買いされる可能性が高いので、すべてテイスト丸ごと変更される事はありえない(フル・トータルで変えるには莫大なお金と手間が必要だから)のですから、積み上げ方式にすべきなのです。(GMSでの外商=年間高額購入者強化も必要なのです=LTVを意識して)

ラルフローレン(ブランドディレクター)はお客様の生活において、昨年買った綿パンに今年発表のサマーセーターを組み合わせられるというMDで毎年ブランドのテイストは変化させていなく、次シーズンのトレンド(アウトドアやスポーツ等)をラインアップに加味してシーズンの新鮮味を醸し出し、そう飛んだ跳ねた商品には手を出していないコンサバなのです。現在のラルフローレンはビジネスに行き詰まって不調の様に見えますが、このような考え方は間違っていなく継続するべき事例です。決算の悪い企業はすべて悪いのではなく、「悪貨が良貨を駆逐している」場合も多いのです。

特にこのようなコラボでは、売場にある商品のコラボ側のオンライン・サイトには、売場にある同じ商品なのに売場よりも安価な商品が掲載されており、価格のコントロール不可状態も課題の一つです。やはり、できるならPB開発が必須です。出来る力があるのですが、上記マーケティング力とマーチャンダイジング力の考え方を持てば全く無理ではないのです。当面外部でも、その間にミドルの育成による内製化に向かうべきなのです。すべてはTOPの考え方次第ですが、

また、ホームページでは毎年様々なイベントも実施されてはいるのですが、1回こっきりが多く、全く定着していないのも課題なのです。毎回イベント名は固定して、認知継続をさせながら、継続訴求すべきで、「同じテーマを継続しながら、今年の売りはこれ(例えばアウトドア)だ」という新鮮味を出し、点を線に面にしていかないと全く勿体ないとしか言いようがないのです。「継続は力」なのです。

追)過去にこのブログにも記載の「イオンMONA新浦安店の冷凍食品(@FROZEN)」にも言える事なのですが、TOP-VALUの商品のイオン食品売場の1人前税抜398円程度のベーシックアイテム(デミグラスハンバーグやビーフカレー等)がルー無しのハンバーグの塊が多く入っている(業務用のような)商品よりも美味しいのはルーだけのせいなのかは不明ですが、「俺のフレンチやイタリアン」のコラボ商品の価格や松屋の「冷凍食品の価格」と比べて、TOP-VALUの冷食はコスパが大きくあると思われます。何故広まらないのでしょうか?それはプロモーション不足に尽きるのです。

いつもコメントしていますようにGMSは良い商品もそれなりに存在しているのですが、売場に自社・自店のお客様にとって不要な商品群に埋没し、お客様への一押し商品(それしか勝てない)が見つけられていないのです。要は不要な商品の排除(あれば売れるからこれを売っていくへの転換=不要と見極める目線=絞る力も)とお伝えしたいお客様(を選ぶ目線も)へのプロモーション(そのお客様へのお伝えの仕方も)不足に尽きるのです。衣食住とも、残念ながら「勿体ない」の一言なのです。
​​​​​​

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
弊社へのご連絡は、HOME-PAGEのお問合わせより、お願いします。