生地 雅之
頑張れ!GMS
昨今、GMSが斜陽産業と言われて久しく、改装しても道を誤っている事が多いのです。
先日もイトーヨーカ堂の八柱店(武蔵野線の新松戸の隣の駅前)が9月17日にリニューアルしたとの事とイオン瀬谷店(相鉄線)が9月 22日にGRAND-OPENしたとの事で、リサーチに行って来ました。IYのホームページのリリースによると八柱店はドラッグストア型との表現でしたが、ただ、ドラッグストアとコスメを導入しただけではなく、3Fの専門店フロアを除く自主部分は「改善」ではなく、小職から見て「改悪」に変化していました。
地下の食品売場はコンビニ風の縦積型であり、WALLMART参入時の西友そのものです。また、1Fのドラッグストア&コスメも同様のマツキヨがそのまま入ったような造りでした。2Fの衣料品売場もエスカレータの反対側(狭い方=全体の1/5以下)にアウターなどの自主衣料品を置き、広い方はイオンの肌着の「IC」という売場に見えるのです。すべて他社の良し悪しを見抜けないままのパクリか?
9月22日にリニューアOPENしましたイオン瀬谷店もその一つです。駅南口直結の2Fからペデストリアンデッキで繫がっており、1Fとともに食品売場です。見た目は上記IY八柱店同様に高い什器オンパレードです。まるで先日OPENしました大船の伊勢丹FOOD&TIMES同様(ただ食品什器の羅列)なのです。瀬谷駅北口のIY食品館の方が、低い什器を活用し、OPEN景気でか現在はイオンの方が混んでいましたが、長い目でみるとIY食品館の方低い什器なので見やすく、安定するものと思われます。
縦積の食品売場も、イオンのTHE OUTLET HIROSHIMAの横にあるイオンの食品売場同様に縦積型なのです。ここも西友のコピーだったのですが、地方では面積にゆとりがあるので、横に広げて什器の高さを下げるべきか面積の拡大が無理なら品番数を絞ってでも什器の高さを見やすく下げるべきと過去にこのブログに記載していますが、この新八柱店は駅前立地なので、SKUを絞りこんでの低い什器で「待ち」から「売る」方向のMDに転換すべきでしょう。
セブン&アイHDGSのセブンイレブンも什器レイアウトを変更し、いままでレジに縦置き什器であったものを横にし、万引きが起きやすい環境に変更され、しばらくは売上が伸びているとの表現でしたが、その5店なのか全体なのかは表明されてはいません。5店ならばもっと他店に広げているとは思うのですが、、このIY八柱店もイオン瀬谷店も何故新タイプのレイアウト(新レイアウトが成功しているなら)でOPENさせなかったのでしょうか?
イオン瀬谷店もIY八柱店もレジは全然別の場所でOPENさせているのです。セルフレジ普及のためか?意味不明です。セルフレジの普及で逆に万引きが増加しており、レジを済ませてから売場を通って帰る導線もあるイオン瀬谷店は問題が多いでしょう。最近は防犯カメラで追って支払いをさせており、被害が少なくても、お客様の来店しにくい環境や、万引きできると思わせる売場作りこそ問題があるでしょう。防犯カメラで後追いして、被害が少ないという事の方が問題なのです。事件が起きる可能性のある売場こそ問題なのです。セルフレジ普及の課題の共有は?
もっと酷い状況に対峙しました。先月イトーヨーカドーの衣料品の気に入った商品を見つけ、サイズが無かったので。近場のヨーカドーを回って探していた時の事でした。イトーヨーカドーもそうですが、GMSは店によって、バーゲン価格が異なるので、お取り寄せをしても当初見つけた価格より高い事もあるので、お取り寄せがしにくいのです。よって、近場のヨーカドーを見て回り、この値段なら購入する、しないを決めているのです。
ところがHOME-PAGEを見て、ファッションお取り扱い店と表示されていました埼玉の朝霞店に行くと食品のみしか取り扱っていないのです。駅前からバスの本数も少なく、時間が無いのでTAXIを使って行ったのにこのありさまです。入り口にてアプリ勧誘の説明をされていた社員らしき人に質問すると、その方はセブン&アイの本部社員であり、応援にきていたようでしたが、「同じ館に隣接して展開しているカインズホームに衣料品があるので」と言い訳をされる始末です。
小職はカインズがセブン&アイグループとはそれまで知らなく、同じグループ会社なので、そのような表記されている可能性もあるとの事です。HOME-PAGEはホールディングスや、各企業が作成している場合、または下請けが制作している場合もありますが、すべてヨーカドーが最終確認しているとのコメントでした。他のヨーカドー(例えば隣の和光市店)は表記されていますが、ヨーカドーの衣料品売場は別企業の店ではなく、平場もあるのです。
頭を下げられても「しっかりしろよ!」と言いたくなるのは小職だけでしょうか?
要はイトーヨーカ堂は自社の強みを忘れ、自信が無いのか他社の真似事の集積的な売場になっている事は残念です。ヨーカ堂の強みは低い什器で商品が見やすく、買いやすい点は他社よりも数段レベルが高かったのです。イオンは力業で広い面積で総額を稼ぎ、「利益は後でも」との意識なのでしょうが、実は利益が伴っていないのです。「大きい事は良い事だ」や「機会ロスはNG」の意識が根強く、機会ロスを怖がる姿勢は両社とも同様でしたが、ヨーカドーが早い目に転換しようとしているように見受けられるのです。やり方に難(先に止める=既存を切るから入る事)があります。
食品も当然ですが、売場は高さが命(低い事が重要)であり、IYはいままでの衣料品の実力が他社の追随を許さなかった点を見失ってきています。勿論、商品力も低下してきています。イオンも少しはレベルアップもしてきていますが、本年度の春物や秋物のトップバリュコレクションの綿パン等はコスパも含め、素晴らしい出来栄えです。ユニクロにも勝る商品の一つです。過去から提言していますトップバリュとトップバリュコレクションのMD区分等はまだまだ被っている無駄と隙間ロスは解消できていませんが、すべて作り手・売り手の「良悪の目線が無い」、買い手・使い手の「好き嫌いの目線がない」事を物語っているのですが、
9月27日のこのブログの百貨店よりも可能性があるのは、自ら買取を含め自社PBを構築しようとしている点です。在庫処分という血を流しながらのTRY&ERRORは「利は元にあり」を認識している点なのですが、「どうやれば?」(テイスト軸を揃えた衣食住での1ブランド・ライフスタイル型PB開発)という視点が欠けている点は過去よりもどんどん乖離してきています。
このようにGMSとしては、まだまだ余力があるのですが、それはグループとしてなのです。7&アイホールディングスはコンビニとGMSで売上を作り、コンビニと銀行で利益を稼いでいるのです。イオンも同様に、モールとGMSで売上を作り、モールと銀行で利益を稼いでいるのです。両社ともGMS(イトーヨーカ堂やイオンリテール)では利益が出ていない(IYは若干の黒字ですが、減益傾向であり、イオンリテールは赤字)のが実情なのです。
祖業(GMS)がお荷物になっており、各社戦略が異なるので、店頭課題は同じでも、経営課題は大きく異なるのです。店頭課題はすべて(売場も商品も)お客様目線になっていない事に尽きるのですが、経営課題はイオンは「大きい事は良い事だ」的であり、面を取ってから儲けようとしているのか、「先義後利の後利」が付いてきていないのです。7&アイは質を求めて少数精鋭的な商品MDで「攻め」のビジネスをやってきたのですが、結果が伴わない(基本、儲ける目線がない)ので、縮小・閉店の一途を辿っているのです。
両社とも、基本的には人材教育の不足が表面化しているのですが、幹部がそれに気づいていない事が根本的には敗因なのです。両社とも食品出身者が幹部になっており、衣料品や住居関連のプロが現場にも意思決定者にも不在な点が1本足打法に陥っているのです。若くてもその道のプロに任せるべきです。外部のコンサルは百貨店を含め、企業名のみで契約しているのですが、肩書が付けば現場が出来る訳ではありません。昨今のIT系やマーケ部隊も同様。外部の選択目線も不足しているのです。
GMSはまだまだ改善・改革の余地は時間を含め、沢山残っています。各社
1)VISION(GOAL)を明確にし、
2)自社の立ち位置を的確に認識し
3)1に向けた2から直線で走る
これ以外に、生き延びる道はありません。特に重要な2はこのブログの「結果が出ないのは何故?」(9月20日付)をご一読下さい。
小職は応援者なのですが、よいしょ(忖度)していても何も改善できませんので、気付いた点を直球で論じているのです。改善策も見えてはいるのですが、各企業毎に傷んでいる部分が異なるので、当然の如く個別対応なのです。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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