生地 雅之

2022 14 Nov

イオン天王町ショッピングセンター

10月後半に相鉄線星川から徒歩10分弱の天王町にできたイオン天王町ショッピングセンターを見てきました。元マイカルだったらしく、暫く改装していて閉店状態の館だったようです。
星川とは横浜から快速で1駅目でもあり、立地的にも最高で先(海老名寄り)には二俣川や瀬谷等もあり、条件的にも抜群に良い立地なのです。

駅からもマンションが乱立しており、保育園も多数あり、保土ヶ谷区の閑静な住宅地なのです。
これくらい立地に恵まれていて改装に時間をかけていた事は勿体ないの一言です。
マンションを購入されたばかりの住民ではなくある程度時間が経過した入居者も多いと見受けられるのです。

1Fの半分はイオンスタイル(食品一部日用品)が占めており、通路を挟んでイオンのグラムビューティ―クと食の専門店(テナント)が並んでいるのです。2Fにはイオンが半分弱(ホームコーディ)であり、その他ユニクロ、無印、未来屋書店等の大型テナントなのです。3Fになるとイオンが半分強(衣料品∔子供関係)を占めており、他はフードコート、クリニック系(11月1日OPEN)及びアパレルのテナントなのです。

今回の素晴らしさはイオンスタイルのフロアゾーニングなのです。イオンススタイルのネーミングについては過去にも記載の通りまだまだ問題も多いのですが、今回は周辺の立地の良さ以外に、館内での面積の取り方に「一工夫」が感じられます。要はいままでの1Fから3Fまでは同じ字型を確保してから何を入れるかを考えていた造りに見えていたのです。

今回はまず館の構成をどうするか、次にフロアゾーニングをどうすべきか、そしてイオンスタイルの役割を精一杯発揮させるにはどのようなゾーニングが良いのか。その後テナント等の貼り付けを考えているように見えるのです。ここに大きな変更(進歩)が感じられるのです。「素晴らしい」の一言です。今まで百貨店業態にも言い続けてきた事なのです。まずは何が必要で、それから展開字型が設定され、その後器が出来るべきなのです。

箱を作って何を入れるかではなく、このエリアにどの様なカテゴリーが必要なのか、それを入れるにはどのような字型(フロア)が必要かを先に考える必要があると唱えてきたのですが、それがこの館から生きていると言っても過言ではないでしょう。この館がそのような事考えていないで出来たのであれば、偶然でも「瓢箪から駒」なのです。

良い「きっかけ」が出来たと捉え、今後の店(GMSであろうともモールであろうとも)この考え方で現在計画中の館の見直し(再検討)を望むものです。装置産業である限り一度作ってしまうとリニューアルは十数年後になり、そう簡単に変更できないのですから、「後悔先に立たず」なのです。作ってしまえばそれで戦うしかないのですから、

即手直しに手が出せるのは百貨店の伊勢丹本店と阪急うめだ本店位なのです。通常は考えて実行したで、即の二重投資などは不可能(経費がでない)なのです。しかし、リアルもEC画面も最近はリニューアルしても即売上が上がるなどは「至難の業」であり、一般的には既存客にわかり難く、ここ何年も売上が下がるものなのです。よって、経費を掛けるか否かは別としての見直し(手直し)が必須なのです。そこからV字回復が見られるのです。手直しをやらないと埋没の一途なのです。

この館の平場の商品はイオンの他店と全く変わらないのですが、この立地で売上が取れないと全くどうしようもないのです。来館客も地元メインであり、老若男女ともほくほく顔で「良い館が近くにできてうれしい」といった満足なお顔の方がい多く見受けられました。恵比寿のLIFEのフーディズガーデンと同様(それまでの恵比寿三越の食品とは異なる)なので、地域密着のマーケティングもそれなりに出来てきているのでしょう。「素晴らしい」の一言です。

駐車場を大きく減少させたのも、この商圏では徒歩と自転車で十分なのでマーケティングができつつあるのでしょう。この立地条件と考え方を今後広めている間に、食品以外の衣料品や住居関連商品等のMD(商品、売場レイアウト及びVMD)の見直しを時間をかけてやり直せば、盤石なのです。過去からイオンもイトーヨーカドーもそれなりの良い商品も沢山あるのですが、不要な商品が多く埋没している(見つけられていない)のであり、また地域マーケティングに不備(データ活用に不備があり、適所・適品・適量ではない)があり、来店客との大きなブレ(GAP)が利益を取れていない根幹なのです。

来店顧客に合った商品開発の不備(その後、どのようにして少ない品種で高い利益を生むか)と、展開の不備(食品以外の無人販売のできる売場構築の完成度の低さ)が相まって、衣料品・住居関連商品等の利益不振が生まれているのです。ここに気が付けばそう難しくはありません。この様な立地の良い場所での展開に甘える事なく、見直せばまだまだ復活のチャンスが眠っているのです。

真摯にパーツつまり、立地、フロアゾーニング、商品(質や価格設定も)、商品構成、商品量(販売実力の把握によるムダな生産量の排除も=但し、「買って頂くから売って行く」へのマーケットインからプロダクトアウトへの回帰シフトも)、什器レイアウト、商品レイアウト、サービス等の全体のオペレーションを見直すチャンスになっているのです。

今の間(おおよそ当面3年間程度)
1年目は
①    こうあるべき(当面の理想像=VISION=GOAL)の設定
②    実態把握(現状のお客様目線で)=これが殆ど不備(小売り業のほとんどが)
③    その差の認識
④    GOALへの走り方の設定(誰が、何を、いつまでに、どのように、どれくらいやるのか?)、

2年目は
①    それ(上記1年目を)を具体的に進める
②    当然TRY&ERRORをしながら、修正に向ける
3年目以降に
①   PDCAしながら、 実(結実)=利益を刈り取る。
②    その後TRY&ERRORで経済環境の変化に対応できる基盤(マニュアル化=定期的な見直しも)造り
③   併行して、 それができる人材育成
が肝要なのです。

冷静に見ると、商品が良くて売れているのではなく、立地の良さに誤魔化されているだけなので、目先の売上に「一喜一憂」する事なく、「自社の不備を手直しする時間が確保された」と捉え、改善に着手して頂ければと思うのです。小職は「一般的(素人的)なお客様の立場で、売場と商品を見て、伝わらないから忖度なく、プロとして買わない理由を考えての改修の提言をしているのです。一般客との違いは何が問題で買わないのかを読み取り、どうすれば改善できるのかを提言できるのですが、一般客は何故買い難いのかを判らずに帰られ、二度と戻ってこないのです。

時間稼ぎは立地のみではなく、新浦安の@FROZENを見ても編集次第では売れているものもあるので、その店に来られるお客様にとって良い(必要な)商品と悪い(不要な)商品の見極めを徹底し、良い商品の「必要とされるお客様へのプロモーションの見直し」も重要な繋ぎの手法なのです。良い商品も多々あるにも関わらず、その商品の良さが必要な方に伝わっていないので、お伝えできていなく売れていないだけないのです。「勿体ない」の一言なのです。

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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