生地 雅之
GMSの再生はPBの完成度に尽きる
GMS業界は、昨年まで厳しい環境下に置かれ、今年もコロナで食品以外は追い打ちをかけられ、業績が悪化している企業も多く出てきています、何故食品以外が苦戦しているのでしょう。
食品は必需品であり、食べないと死ぬのであり、衣料品やリビング商品は今しばらく購入しないでも生きられるからなのです。では、衣食住ともに安定成長させる方法はないのでしょうか?
GMSの現状の売場は、食品はカテゴリー展開をしながら、すき焼きの提案のよこにすき焼きのたれ等を並べ、一物二箇所の展開も実行されているのですが、衣料品やリビングになるとカテゴリー売場以外には並んではいないのです。本来なら同じスラックスをこのトップに合うならその隣に置き、このアウターにも合うならその隣にも置く事での一物二箇所、三箇所も展開すべきなのです。
大手GMSの1社は、PBの完成度(商品や売場構築の精度)が低く、売上等が低迷している時にはNB(販売員付消化ビジネス)を前面に出し、PBを後ろに配置し、逆にNBを強化する時にはNBショップを後ろに下げる事の繰り返しをしていたり、それも今や入れ替えをしないで放置したままとなっています。
別途の大手GMSは、最近まで完璧ではなかったのですがシーン別に小割に並べていたのですが、結果がでないのでTOPが交代され、再度昔売上が取れていたカテゴリー売場に戻していこうとされているのです。果たして、上記2社の方向性が正しいのでしょうか?
本来小売業の売場の理想は、テイスト軸ライフスタイル売場の構築であり、自分の嗜好に合った世界観を持たせた衣食住のライフスタイル型売場構築にすべきなのです。勿論食は日本人においては、カテゴリー売場との併用が必要不可欠なのですが、つまりイタリア人ではないので、一年中イタリアンを食してはいなく、和食・中華・洋食等を食べ分けているからなのです。カフェやレストランまでは上記一物二箇所を活用し、一緒に纏める事が必要なのです。
自社・自店のお客様に向けては、最初は大きく2つ程度のテイスト別の世界観を設定し、その世界観に向けての衣食住の商品構成を構築していくのです。イメージは無印良品のようにテイストの揃ったVISIONを設定すべきなのです。その世界観を好きな人には、購入目的がなくても毎日でも来店していただき、その世界観に浸っていただく事を目的にするのです。
毎日でも来店頂き、その世界観の中での喫茶店やレストランででも飲食していただき、常に気に入った商品群の中での居心地のよい雰囲気を楽しんでいただき、これがあればと感じて頂き、購入していただけるようにすべきなのです。
勿論セルフでの話であり、接客しないと売れない売場構築ではなく、目を閉じて周りの商品を手に掴んでも気に入らない商品は一つもない世界なのです。勿論色の組み合わせは個人個人なので別なのですが、接客が前提の売場は百貨店でも不要なのです。百貨店も接客しないで売れる売場構築が最優先され、その上クローズへの背中押しの接客が必要なのですが、なくても売れる売場構築がまず大前提です。
GMSの現在の課題は、
1.PB商品はユニクロやニトリ以上の商品も多々ありますが、不要な商品に埋もれ見つけられないのです。まずは不要な商品を見つけ、売場から排除することが優先されます。要・不要の目線(何が基準)が必要不可欠ですが、
2.売場がセルフを意識し、衣料品だけでもユニクロの様な多量陳列からの脱却が必要であり、1品番1カラー1サイズ2枚までで止めるべきでしょう。1日に1品番1色1サイズでどれだけ売れるのでしょうか?品出しに徹するようにして、毎夜か毎朝に品出しをするべきなのです。(セルフ=積むではないのです)
3.勿論マニュアルを否定する人(考えて仕事ができるような人材育成の出来ていない企業には無理)もいますが、什器の設定(高さ、幅等)、什器レイアウト(置き方や向き等)、そして導線に取り方等や商品レイアウト(色並べ方の順番やハンガーの向き等)、そして勿論商品そのものの完成度(シーズン企画の方向性とともに、商品そのもののカテゴリー別品番数、デザイン、色構成、サイズ設定・展開等)等、が要求されます。(最低線のマニュアル)
4.そして、自社・自店の販売実力に合わせた仕入数量の適正化が前提ですが、ここが一番課題なのです。
TOPから機会ロスによる売上減を追及され、ミドルは叱られるより在庫を残しても責任はTOPにあるので、間違っていると判っていても従うのみなのです、TOP(代表権のある取締役)はミドル(代表権のない取締役から部長まで)に命令したら、考えて仕事をしてくれると考えている処に原因があるのです。そのようなミドルは皆無と思うべきなのです。考えてはいても実行に移さなく、従うのみなのです。自分がそこに居れば?
この様な課題をはらんでいながらの改革なのですが、課題を認識できればそう難しくもないのです。問題は自社・自店の課題認識(総論ではなく各論で)が出来ていないのです。
例えば、機会ロスを防ぎながら、必要商品量を見極める事は、上記自社・自店の販売実力を見極めればそう難しくはないのです。小職は過去にも記載のように、前職でそのノウハウを構築し、マニュアルに仕上げています。
そこが判明すれば、手の打ち様はあるのです。勿論自社ですべてができる訳ではないのですが、
その上自社で出来る事、出来ない事(外部依存)に見極めも重要であり、そこからなのですが、
結果が出ていないから、PB(GOAL)そのものを否定するのではなく、また総額指定から入るのではなく、売上は結果として着いてくるものなのです。
売上ではなく、利益を最優先にすべきなのです~利益ベースの評価制度に変更すれば、可能なのです。
この目標を設定し、道程を組み立て、そこからEC売上の枠も設定し、リアル&NETで現在の130%くらいを目標にすべきでしょう。当面EC化率は10%からでも、総額120%を目標とし、リアルも110%UPで、+EC10倍の目標が必要なのです。勿論リアルのパイはそう広がりにくいのですが、上記のテイスト別ライフスタイル型PB開発&売場構築では食品5%UP、衣料品30%UP,リビング20%UPで、リアルが10%UP程度になりえるのです。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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