生地 雅之

2021 13 Dec

紳士服ロードサイド店=すべて埋没

先日、4社(青山商事、アオキ、コナカ、はるやま)が決算(一部期中)を発表し、軒並み大幅悪化(赤字)となっていました。
過去には低価格路線で一世を風靡した業界であり、当時の日本のスーツは1000万着で、4社で85%強を占めるほどの実力なのでした。
何故、ここまで凋落したのでしょうか?それは現在の各社の経営者が時代の変化に対応出来ていない事に尽きるのです。コロナだからではなく。コロナ前から斜陽だったのです。
創業者達は「スーツを毎日着替えられる価格にと、それまでの価格を大幅に下げ、海外生産とSPAで中間マージンを排除し、ローコストに徹してきたのです。

しかし、現在では全く通用していません。何故なのでしょうか?
創業者は当時「良い企業とは時代の変化に対応できる永続性のある企業」と言い切っていた方(素晴らしくその通りなのです)もいらっしゃいましたが、現在の経営者はとても時代には合わせられていないのです。
ひとつは子供に経営を渡している事のように見受けられますが、そうではなく経営者(後継者)になりえていない(育てていない)人にバトンを委ねた「漬け」なのです。
企業は「人」であり、育成する事に目を背けてきたのです。

経営とはどこかの企業が「三位一体」と言われていますが、同じ意味で小職は「五位一体」という言葉を作っています。
株主、取締役、従業員、仕入先、お客様の5方向に向き、すべてにWINWINになるビジネスモデルを構築すべきという意味なのです。
勿論5方向が均等に利益配分とは言っていなく、金額の大小に拘らず1方向でも儲からなければ継続できないので、利益が5等分という意味を唱えている訳ではありません。
これが「出来るか否か」なのです。従業員の約3倍もの人間の生活に責任を持ち、企業経営されているのですから、家業を継ぐに拘らず、出来る人が経営者にならないと継続出来ないのです。これが社会的責任でもあり、出来る人なら息子・娘でも何の問題もないのです。

話を戻して見ると、過去のこのブログでも記載しましたように、適正なコストの見極めなどは、全く緩いのです。もっとシビアにしないととても勝てないのです。
何処かの百貨店が一番良い仕入れをしていると胡坐をかいていたら、他社の方が良い買い物をしていた事をお伝えしたら、その企業は質も量も素晴らしいので仕入れを見直しされて正しく戻した事も、「茹で蛙」に陥っている事を物語っています。要は固定概念からの脱却も出来ていないのです。

ユニクロの前回の消費税値上げの段階で、消費税込の価格で維持されたことは素晴らしく、この様な方針を出せる経営者、それを実現できる現場(ミドル)も「素晴らしい」の一言なのです。勿論、ミドル(仕入担当)の厳しさは口には表せない位なのでしょう。饅頭を上から押せば横から餡子がからはみ出るように、「ビニール袋のみでなく、紙袋迄の有料化」「店舗引き取り無料サービス」のような今までない手法やわざわざ当然ともいえるキャッチを多用してでも、利益額の維持を要求されているのです。これ(上代を9.1%ダウン)はとても厳しいTOP-DOWNなのですが、それをミドルは何とかこなそうと必死の姿がこの事例なのです。要はそう簡単ではないのですが、全社一丸となって邁進させている経営者なのです。儲けて税金を払う公益性を実践しているのです。すべてを肯定している訳ではありませんが、この部分は「素晴らしい」の一言です。

この厳しさが現在低迷している企業の経営者には根付いていなく、他の営業利益低迷の業界の企業にも言える事なのです。厳しい事を言えば出来る訳ではなく、そう認識する事(TOPから全員が)にこそ復活の可能性が生まれてくると言えるでしょう。
つまり、マーケットの実態を確実に認識の上、マーケットの将来を予測し、自社はどう行くべきなのかのVISIONを明確にし、現状から走る以外に道はありません。但し、現状の立ち位置が正しい認識の上にないといくら走ってもGOALには到達できません。

上記、幹部の「人」の個別の育て方(一皮の剥かせ方)や現状の自社の立ち位置の認識につきましては、11月16日付繊研新聞の小職の寄稿記事「なぜ結果がでないのか?」をご一読下さい。その他ご質問は弊社HOME-PAGEのお問い合わせか、アパログのお問い合わせまでお願いします。企業のお困り事は企業毎に異なりますので、総論では全く解決しません。すべて個別に対応しないと、不可能なのです。

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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