生地 雅之

2022 30 May

どうした?ユニクロ

最近、ユニクロがおかしい。
先日のロシアへの政策の変更、その前の新疆綿工場対応問題も含め、すべてを知り尽くして判断してこられたトップのジャッジミス(世論に屈して政策を変更したこと)は良い悪いではなく、今までのトップとは大きな心理に変更が起きているのです。いままでのトップではありえないと言えるのです。

信念をもってコトに当たってきたTOPのですが、そうではない模様です。「お金」欲しさのみとの一般人の素人のコメントのように、ではないくらい稼いでいるので、一般的な企業になろうとしているのかさえ見受けられるのです。いままでの大きな「家業」から、これからは通常の「企業」になるのでしょうか?甚だ残念としか言いようがありませんが、すべての「家業が良く、企業が良くない」と言っている訳ではありません。

このトップジャッジのブレ(あえて「ブレ」と呼びますが)が、現場にも影響しているのでしょうが、まずはセブンイレブンの総帥だった鈴木氏のような「どこでも何でも買えるように」との事で、ユニクロ東京での顧客層が異なるセオリーやコントワーコトニエの同場所展開(力技)や最近のマルニとのコラボの失敗(マルニとのコラボなどはユニクロにとっては全く不要=まずユニクロ客はマルニの何たるかを知っているのでしょうか?)です。

過去のジル・サンダーとのコラボ(+J)の失敗(大した量を作っていなく、完売即売と大騒ぎしてその後撤退済=儲かっていたのなら継続している筈)で何を学んだのでしょうか?トップの周辺にマーケティング(ターゲティング)の出来ない人が取り巻いていて、弱っているトップに判断ミスを犯させているのでしょうか?現在マルニXユニクロを見に来ている人はマルニを知っている人だろうとも言われています。

マルニとのコラボも底が透けて見える位の浅い施策(価格ラインのミス)であり、ユニクロの客が「マルニ」を知っているのか?とのコメントまで出る始末です。セオリー等で失敗したから価格を見直したのでしょうが、品質もユニクロ同様であり、ユニクロのTシャツが1500円とすれば、マルニとのコラボは1990円としており、「マルニ」としてはブランド毀損をしているのです。ユニクロは∔J同様何の毀損もしていないのですが、

イオンの総帥の「大きい事は良い事だ」での力技で、何でもできるとの判断で、イオンスタイル板橋前野店のイオンリカーに27万円台のワインを並べ、売れると勘違いしてきた事などはまったくその通りで、イオン碑文谷(元ダイエー碑文谷)での店舗イメージミスによるプライシング(価格展開)判断ミス等も狂いだしているのです。前週のブログの「イオンレンタルストア」同様思い付きか?

しかし、話を戻してのユニクロは、売場の商品構成は定番ウエートが大きくなり、全く面白くもなくチェック柄等の柄物ウエートも低く、最近の流行色でもあるエメラルドグリーンやローヤルブルーやクリームイエロー等の色も立ち上がりにはなく、後追いで追加して店頭出ししてきたこの春、売場の立ち上がりには売れ筋のカットソーだらけ(特に売れてもしないポロシャツなど力技で流行らそうとしているのか?)新鮮さも感じられなくなってきています。

但し、商品のみではなく、販売員にも問題があります。例えばユニクロ銀座(G-SIX前)の多層階では商品を問い合わせすると下の階にあるとの事で、下に行ったらなく、上の階にあるとの返事でした。どこかの役所の窓口か?また、探してもらった商品がそれでもなく、セットアップのカバーオールなのに、セットアップというだけでスーツのジャケットを持ってくるのです。

銀座で探すのを諦め新宿西口店にて問い合わせすると上の階にあるものを取ってきて見せてくれたので、素晴らしいのですが、スマホの画面を見せているので、ネットで色やサイズ違いを多めに購入して不要な商品を近くの店で返品されればとの説明迄受けたのです。素材の厚みや風合いを確認したいために店に来ているのですが、そのお客様の気持ちを理解できていないレベルなのです。

また、柄物の不足はポール&ジョーのプリント柄とコラボしてレディスインナー等に付加する情けなさはトレンドを外している最たる証左なのです。しかし素材選びでは麻の使用比率等は妥当であり、デザインもスエットパーカーも前開きではなく、プルオーバー等は適正と思われるのですが、横編み(ニット)が少なく、丸編み(カットソー)ばかりの商品構成はいかがなものか?すべてレベルの低いMDのなせる業なのでしょう。

確かに、横編み商品は足が遅く、ワゴンに載っている商品はJWアンダーソンブランドのニットばかりであり、効率追求しているユニクロなら外していく事は尤もなのですが、業界を改革しようとしているユニクロなら、敢えて選択に手間の掛かるお洒落な人しか着ていないニット強化に向いて頂きたいのです。3万円台のセータしか作らないと突っ張っていた和歌山の島精機を軍門に下し、この企業の得意分野のホールガーメントを使用しての4000円未満のニット展開などその意思表示でもあった筈なのですが。

後は値下げ時期の判断ミス、春物の展開が早く気温も急に高くなり出し、寒暖の差はあるものの急に寒さが戻るとはいえ、又長袖が売れる事などはまずありえないのですが、いまだに長袖の値下げが遅いのです。確かに春物の売る期間が短くなりつつあるのですが、細分化しての展開期間により、生産数量の調整により乗り切る事が春物に期待されています。それも出来ないユニクロになっているのです。すべては人材育成の不備のなせる業ですが、

このようにファッショントレンドのMD取入れバランスミスや、商品構成バランスミス、生産調整数量設定ミス等にミスが起きてきており、要は自社・自店販売実力の把握ミスが根源であり、小職のこのブログの過去に記載の「小売業の成功は販売実力の把握に尽きる」(下記URL)をご一読下さい。
https://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/ochi/40eef652-60de-49b4-953c-4960e21bad95

しかし、売場構築力は「一日の長」があり、壁面の使い方(壁面什器を仕切りを使っての死角造り=例えばユニクロ新宿東口店)による購買の促進等(百貨店はともかくGMSではほとんど使用していない=気付いていない)は素晴らしいものです。但し、これは一度売場を作るとそう簡単に売場変更しないので、現在の意向でこの変化をしたものではないと思えるのです。過去のMDが素晴らしかったのでしょう。(小職の著書参考)

また、テーブルの上の林立されたマネキン多用などはFREEK-STOREのコピーです。ユニクロとしては当時東武池袋店のユニクロが目立っていたのですが、効果が無いと判断して半年で中止したFREEK-STOREと比べ、まだ継続している点(向きは変更されていますが)は効果計測できていないと思われ、この時点から自社の考えがなくなり、他社事例の良し悪しも確認できなく、アイデアのコピーの山になってこの頃から可笑しくなってきているようです。

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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