生地 雅之

2024 08 Jan

百貨店外商の次2

最近、百貨店の売上が復活しつつあります。過去の売上の柱は衣料品であり、現在は外商顧客の喜びそうな商品です。高級時計や不動産、絵画、骨とう品、ラグジュアリーブランド商品の数々です。最近やっと衣料品もコロナ前の実績をクリアしつつありますが、

 

では、この外商ブーム(あえて、ブームと)はどこで生まれたのか?コロナ前の富裕層(日本の4%程度であり、当時の百貨店層の中産階級層26%、その下のボリューム層70%-世帯数ベース)であったのですが、中産階級層が4%程度下層に落ちたのです。この4%程度が大きいので、百貨店の売上が(特に百貨店のマス+アッパーマスが)激減しているのです。

 

百貨店の外商売上は百貨店全体の20%程度を占めますが、コロナで海外渡航できなかった人が海外で使っていた金額を国内で落としだしたのです。北京の富裕層向け百貨店の売上を見ても歴然です。中国は桁違い。実はそのお客様にはもっと売れているのですが、百貨店以外も多いのです。

 

百貨店では20%程度しかないのですが、他に道がなくここに頼っているのです。某百貨店は「外商の次も外商]と他に見いだせないのです。売上が下がっても、客単価を上げていこうとしているのです。例え売上が倍になろうとの事です。倍になっても全体の半分もカバーできないのです。さっさと「利は元のあり」で、リスクを取らないビジネスの将来はないのです。

 

セレクトショップは売上の大半がPBであり、メーカー仕入れの商品群ではお客様のニーズに対応しきれないと判断の末なのです。仕入れ先は殆ど自分で小売をやらないので、顧客ニーズの把握がままならないのです。セレクトショップも百貨店もGMSも小売業なので、顧客に一番近い所にいるのですから、できない筈はないのです。セレクトショップにできて百貨店にはできない筈はないのです。

 

百貨店もGMSもショップブランド力が強く、アパレルのようにグッズブランドを育てるのが下手なのです。小売業のPBはショップブランドとグッズブランドのミックスのバランスが重要であり、お客様に一番近いのですから、ローカライズ&カスタマイズと嚙み合わせれば問題はないのです。それにはMDや持っているデータの解析を含め、製造の仕組みを研鑽しなけれななりません。もちろん一朝一夕にできるものではありませんので、最初は知見を買うしかないのです。究極は商品力の向上です。(前回のブログ参照)

 

知見こそ外部からに尽きるのです。社内で「気付き」の出来る人が存在するのでしょうか?話を聞いて「なるほど」と納得されても、最初から気付いている人などありえないのです。これは一朝一夕にできるものではなく、例えば社内で他の社員を褒める人はその人の何を見ているのでしょうか?

 

社内で出来るようにするのにも、ミドル(代表権のない取締役~部長以上)の教育が必須なのです。優秀な部下(スタッフ)が出来ても、その提案を判断できるミドルの頭が固ければ何の意味もなさないからなのです。

 

GMSはある程度出来てはいるPB化(販売実力の応じた生産の設定=適量が見いだせないのですが)も、百貨店ではまだまだなのです。買取を逃げていては何もできません。SPAを成功させたセレクトショップ(名前はもう合ってはいませんが)が、どうしてできたのかを研鑽せずに、買取PBを無闇に増やしても何も生まないのです。

 

今や、彼らが出来ても自らは出来ないのです。同じ過ちを繰り返さないで欲しいものです。要はEC同様に先駆者が存在するので、少なくとも先駆者のやり方を「見よう見まね」で研鑽し、そのままでなく自社似合うやり方で応用すべきなのです。ここまでは追いつくべきなのです。

その後は同一線上に並び、一進一退になるのですが、それでも先駆者に「一日の長」はあるのですが、それでも並ぶまでは出来るのです。

 

よってPBやECを「二本目の柱」設定する企業はそれなりなのですが、伸びたらラッキー程度の企業では、あり得ないのです。よって、外部からの流入が最初は必須なのです。但し判断するのは自社であり、小職などはその面接(使えるか否かの見極めに)にも立ち会うのです。

 

彼らは商社を有効に使い、PB化を作り上げてきたのです。それには確固たる戦略(あるべき姿論)が存在するのです。何でも自前主義では何時まで経っても業界の平均値にも到達しません。すべては物まねからスタートし、自社に合わない部分は自前で変えるべきなのです。

 

商社(アパレルでは特に繊維商社)を軸に、トレーニングを積み、いつまでもおんぶに抱っこ状態ではNGで、何時かは自力なのです。助走こそ力を買うべきなのです。すべてOEMやODMではなく、使う側から研鑽する側になり、自社の不足部分を補足して預くのです。

 

小売業はお客様には頭を下げても、仕入先やコンサル等には使っているや雇っているとの思いで、頭が高いのです(表立っては頭を下げてはいるものの)が、教えてもらっている意識が必要なのです。使う側に不備が多いのに関わらず。塾も学校も費用は掛かるのです。

 

例えば小売業はデータの宝庫でありながら、分析の角度が不足しているのです。「どのよう事をやりたいのか?」から「どのようなデータが必要なのか?」であり、それが決まれば、今あるデータで「必要な部分はどれで、不足な部分は?」を見極め、不足部分を確保し直すのです。

 

弊社の企業コンセプトの「お客様目線とプロの業」は売場・商品の課題を発見し、プロの業で改善・改革するのですが、お客様目線だけでは発見できません。お客様の立場で売場・商品を見るのですが、プロとして「何故買わないのか?何故買うのか?」を見つけ、「手直し方法」を見つけるのです。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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