生地 雅之

2020 20 Jul

三井アウトレットパーク=横浜ベイサイド

6月5日(金)に前日数年ぶりにリニューアルOPENしました表記の館に行ってきました。

お客様目線のコメントであり、事情は忖度したものではありませんのでご了解ください。

 

JR新杉田からモノレール2駅から徒歩5分強の位置にあり、OPEN2日目のために、平日でも三蜜どころか五密程度の混雑でした。入場規制をしていた店は数店あり、ナイキよりもアディダス、コーチ等数店が入場規制していました。その他はそうでもないのですが、ショッパーを持って帰る人はそれなりに多かったと見受けられました。

 

館のつくりは過去の使い勝手の悪い状況ではなく、アウトレットでは初めて(過去アウトレットも一部出店していたサッポロファクトリーは多層階=百貨店アウトレット出店初か?=近鉄1990年代=既に撤退済)といえる3層であり、過去の道路を挟んでの別館(B+C館)も2階で繋いであり、回遊性も高めていて、つくりは良くなっています。

 

このアウトレットは他のアウトレットと異なり、ラグジュアリーショップ(エトロ、アルマーニ、サントーニ等)がセレクトショップ(UA、SHIPS、BEAMS等)とともに2階にあり、1階はセレクトの一部(フリークス・ストアや、ローズバッド、アーバンリサーチ等)と、百貨店アパレルブランドショップ(自由区、ブルーレーベル/ブラックレーベル/クレストブリッジ、エースやリーガル等)であり、一般的なアウトレットのラグジュアリー層を顔にする手法からの脱却(レイアウト変更での挑戦)の1号店と見受けられます。

 

これまでのアウトレットは、客層は百貨店層の格落ち層をメインにしていたのです。つまり、最初のアウトレットでは、例えば百貨店で10万円のスーツを年間2着購入されていた人が、収入減も含め購入できなくなってきた人が30%OFFで年間2着購入するように質を落とさないで変化してきた方を対象にし、その後FBやSCでの購入者も同様に格落ち層を取り込むために、そのようなブランド(ワールドやJUN、アースミュージックやGLOBAL=WORK等)を導入してきたのです。最初の百貨店客のラグジュアリー取り込みができにくくなっているので、このような展開をしだしているのでしょう。

 

国内百貨店アパレルの持っているブランド(J-PRESSや自由区、クレストブリッジ等)もここ数年作りすぎの残品処分のために、ワールドのNEXT=DOORのような、来館されないと店名だけでは展開ブランド名が判らない状態からブランド名での単体出店にシフトしてきていたのです。最初は百貨店層の格落ち客メインに売れていましたが、もう閑古鳥が鳴いている状況です。その意味と目先売上額維持できているブランド(利益額は別)での売上確保に向けての試行錯誤の実験店舗と見受けられるのです。

 

また、欧米のアウトレットと日本のアウトレットの異なる点は、日本のアウトレットはFBやSCの廉価版ショップであり、色・サイズ切れではお客様からクレームが入るほどの期待値なのです。よって、色・サイズが揃っているアウトレット専用商品が割引率の大きさよりも重要なのです。

 

過去からニューヨーカー、ブルックスブラザーズ等がアウトレット専用商品を生産・展開していましたが、その後はセレクトショップのUAまでも展開しています。最近ではアースミュージック等もプロパー店向けの生産数に上乗せし、その分をアウトレットに最初から展開しているのです。その場合は青札(正価)のままで、タイムセール(1日数回)でのレジで20%OFF等が恒常化しているのです。

 

公取は自社他店(プロパー店でも)で正価にて数週間プロパー価格で展開実績のないものの最初からの値引きには目を光らせており、どこでいくらでいつからいつまで展開していたことを明確にしなければNGなのです。紳士服ロードサイド店の一部はきっちり表記していますが、(ロードサイドの紳士服専門店はこれを遵守しても、別の要因で苦戦中のようですが)

 

実はアウトレット専用商品は通常のプロパー展開商品とは素材も異なり、最初から30%OFFの価格での原価率設定であり十分採算は取れるのですが、プロパー展開の残品がアウトレット店に残っていれば、素材を比べると一目瞭然異なるのです。

 

例えばプロパー商品のチェックのシャツなら60/2で8900円付けていたものが5900円になっており、アウトレット専用商品は30/1で最初から5900円の値付けなのです。触ってみればわかるのですが、アウトレット専用商品がアウトレット店に展開される時期に、プロパー品の残が1枚でも残っているなら判るのですが、1枚も残っていなければお客様(一般的な素人)は判りようがないのです。

 

綿番手は数の多い方が細くて原糸も高く、双糸(2本を撚っで1本)で撚りを掛けているので、60/2の方が30/1よりも糸値が高く、糸自体の太さはほとんど同じで生地の厚みもほぼ同じなのですが、つるっとした肌触りなのです。好みはあるでしょうが、一般的にはプロパー展開商品は60/2を使い、アウトレット専用商品では30/1を使用しているセレクトショップが多いのです。勿論、ライトオンやアースはプロパー店で最初から30/1を使用しているケース(安価にするためだけではなく、デザイナーの好みやブランドの位置付けの影響もあるのですが)が多いのですが、

 

このような中でのアウトレットの展開には注意を喚起した展開も必要なのです。

上手く活用して儲けている企業もあり、日本のアウトレットはガラバゴス状態なのです。

この様なアウトレットなので、欧米の価格のみの訴求での大味なアウトレットが、日本ではコストコのような業態での展開になっており、オフプライス・ストアの展開に一気にワープしているのです。

 

ラグジュアリーブランドのように、光るまで我慢できれば良いのですが、中々日本発の百貨店アパレルの自社開発ブランドは光るまで我慢できないのです。

ユニクロパークについては今回は割愛します。機会があれば別項にて、

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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