生地 雅之

2024 29 Jul

インバウンド好調の百貨店

訪日外国人の復活により、百貨店の外商売上を押し上げ増加してきて、安定しています。

現在の百貨店売上(約4,4兆円強)であり、小売業154兆円強の3%に満たないのです。

また、百貨店の約20%程度が外商の売上(約8800億円)ですから、訪日外国人の売上(前年4700億円弱は百貨店の10%強(外商売上の約50%)しかないのです。

 

また、訪日外国人売上の大半(約80%弱)が10大都市であり、その中でも東京(ダントツ)、横浜、名古屋、大阪の4か所で60%強を占めるので、地方・郊外百貨店の出る幕はないのです。某地方百貨店がインバウンド強化を掲げても僅かの売上しか取れていないのが実情です。今の訪日外国人は観光に地方の行き、買い物は都心という流れが明確になってきています。

 

自ら流れを変える力はもうなく、余力のあるうちに延命策を模索すべきでは?

既に、丸井三越がホテルを含む改装や、福屋の複合型商業施設への移行等、動き出しています。都心百貨店こそラグジュアリーを含めた商品を集結し、地方や海外からECを含め買いに来ていただく店になるべきで、地方店はその送客の入り口になってきています。

 

長い目で見ると海外にも打って出ていくべきなのですが、日本の百貨店を知らないとどのような商品があるのかもわからないので、ECでさえ門戸を叩かないのです。阪急阪神百貨店の戦略は中国の寧波に店を出し、初年度700億円の売上を叩き、阪急うめだ本店に次ぐ2番店になっており、その店に日本の阪急うめだ本店を知っている人を囲い込む戦略が奏功しているのです。

 

海外で多店舗化をしている企業が赤字を隠す手練手管で苦労しているのですが、やり方が明白な企業が結果勝つのです。しかし、インバウンドや国内外商客の次の手は全く見えないのです。いままではマスに売っていた衣料品が消え、伸びている富裕層に掛けているコトには間違いではないのですが、その先は見えているのでしょうか?

 

ビジネスとしては、売上や利益の大きい事業を拡大し、小さい事業を縮小することは自明の理ですが、その先は見えているのでしょうか?大手百貨店の営業本部長クラス数人に聞いても、外商の次も外商との回答です。現在20%の外商売上を倍にしても半分は満たないのです。外商売上を100%に近くする戦略なら問題はないのですが、果たして?

 

売上は客数X客単価ですから、現在の百貨店は客数が減っても、客単価を上げてカバーする方針のようですが、客単価が低い商品が主流になったときにはどのような施策がでてくるのでしょうか?なってから考えるのでしょうが、人間の必要量は数ですから、多く必要なないものが低単価であれば、先はないのですから。

 

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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