生地 雅之

2020 25 May

コロナ下の開業対応

少しずつながらも、都道府県自治体による自主判断で、開業しつつあります。

振り返ってみると、今までの消費者の購買のパターンが変化せざるを得なくなっているのは間違いない事実ですが、消費者そのものの考え方や行動パターンには大きな変化はみられません。ECの売上が大きく伸びているとはいえ、リアルを補填するには当然至っていなく、自宅待機のために、必要なアイテムを出来る範囲の中で購入されたくらいなのです。

誰かが高齢者もECでモノを買いだしたと評価されていましたが、そう大きな数字ではなく、慣れないECを使うよりも、購入を我慢されたほうが多いのが実情です。

 

要はコロナ下の開業対応の準備を完璧にしていた企業はそう多くはありませんが、確実に存在しているのです。

前回の15日の開業対応リサーチに続き、

18日には柏高島屋とTX館、横浜高島屋、新宿高島屋、京王百貨店(食品)、小田急百貨店(食品)、日本橋高島屋SC(本館∔新館)、秋葉原ビックカメラ、イオンタウン守谷、おおたかの森SC,イオンモール船橋です。

19日にはららぽーと沼津、マークイズ静岡、セノバ静岡、静岡PARCO、静岡松坂屋、静岡伊勢丹等も確認してきました。

 

百貨店系はオンラインニュースにも掲載され、様々なあら捜しも散見されますが、緊急開業をした店と開業準備をある程度万全としてきたお店の差も出てきています。

しかし、一番のポイントはその店の期待値以上の対応をした店のイメージは上がり、そうでない店のイメージは下がるという事なのです。

入口・出口の区分や閉鎖、通路の規制、検温や消毒液、マスク、社員のマスクやフェイスガード、レジのビニールカーテン等の統一感の有無は1企業内の地域店舗や1館内のテナント毎や1企業テナントの地域毎でも差が出ています。

 

ユニクロは新宿高島屋内のお店は百貨店内なので、忖度しているのか対応レベル(検温・店員による一人一人への消毒液)は高いのですが、イトーヨーカドー武蔵境店内やイオンモール内のユニクロの対応はそこまでレベル(検温もなく消毒液は置き対応)がなく、差が生じています。ビックカメラの秋葉原店とSKYPLAZA柏店(元そごう柏店別館)の違い(柏店は検温なし消毒液もなし)も同様に歴然と差を付けています。

 

高島屋は玉川高島屋本館では検温も消毒液(置き対応)も実施されていましたが、立川店や横浜店、新宿店、日本橋店では検温はない状態でした。逆に柏高島屋では検温はないのですが、消毒液は一人一人に店員さんが掛けてくれて、心地よい状態でした。

要はショップブランド(暖簾)の期待値以上のサービスがその店のイメージを上げてくれるのです。

前回で驚いたのは立川店であり、SC化したため百貨店層のフロアは4層程度しかないので、

高島屋のイメージが低下して残念と考えていましたが、一部の高島屋ファンは前回記載の対応に不満を呈していたようです。店名のイメージの高さはまだ残っていたのです。もっと活用されるべきです。勿体ないです。

 

ここ数年、百貨店は人員削減や売上効率に合わせた人員配置をしており、売場の店員さんはメーカーの販売員以外はレジ程度でそう多くは見当たりませんでした。辞めているのであれば仕方がないのですが、バックヤードの人員に配置しているのなら、もう一度磨き直して(入社した時はほとんど販売職を経験させていた筈ですので)再度販売に立て、販売の機会ロス(1人当たりの売上が下がっても、総額を取りに行くべき)を防ぐべきでしょう。1枚も売らないのに給料を支払っているのですから、

勿論販売以外の重要な業務の存在を否定している訳ではないのですが、原点は小売業ですので、今回のコロナ下の開業対応においても入口に増員し、消毒液掛け対応に従事させることくらいは実行されるべきではないでしょうか?

 

現実開業したお店の状況を見ていますと、百貨店やSCを問わず地方郊外店の開業初日売上は前年実績超えもあり、地方ターミナル立地(駅傍等)の百貨店は苦戦気味なようです。調子の良い百貨店は来店客数50%程度、売上累計70%程度での推移のようです。

要はそんなに急激に来店されていないので、営業時間短縮や入口箇所の制限は逆に密を増やす事に繋がっています。エスカレータの間隔を空けるような案内は結果論ですが、現在全く不要です。

事が起きてからでは遅いのでやむを得ない部分は理解できるのですが、

 

開業した百貨店の売場は全体のまだ50~70%なので、お客様はウィンドウショッピング(地方郊外店は前年もインバウンド客も少なく、既存顧客も少ない人数で買う気で来られ客単価が上がっています)なのですが、逆にSCは97%程度開業していますので、好調な館もあります。首都圏の4都県以外のSCはテナントのほとんどが開店していますので見に来るだけでも価値があるのです。閉まっているのは撤退店舗で後のテナントが決まっていないか、OPEN工事が遅れている店舗なのです。通常シーズン切り替え時期には2~3%はCLOSEしていますのでほぼ同レベルなのです。

大都市の百貨店のインバウンド客も政府の受け入れがコロナ前(2週間待機が解除されれば)に戻れば、すぐに増加してきます。コロナ前と後の差は何なのでしょう。インバウンド客の行動や心理はそう何も変わっていません。

コロナ前は必要だから、海外から買い物も旅行にも来日されていたのですから、後も何も状況は変わりません。買い物や旅行をしたい方は間違いなく戻ってきます。買い物は都心中心で旅行は郊外でしょうが、地方郊外百貨店の開業時の売上が良いのはインバウンド客が前後ともいないからなのでしょう。

衣料品関係のセールも三密は怖いのですが、アパレルや小売業の在庫過多を目のあたりにして、我慢できないでしょう。十分な配慮をしての乱売(時期も価格も)に突入してくると推測します。

 

整理すると、百貨店も開業時にはお店の期待値以上のサービスをすべきで、バックヤードの社員も全員対応でのお客様のお出迎えを望むものです。このような状況下でも来店していただける事への感謝の気持ちをお伝えしていただきたいものです。忙しくなれば戻せばよいのでしょうが、出来れば継続すべきです。

小職の様に、各店見に回る人は少ないので、地域の既存のお客様に喜んでいただければよいと考えますので、店舗毎の対応が変わっても心配はないと考えます。逆にテナントの方が店・館よりも対応レベルが高いのはいかがなものでしょう。

今回の解除の対応は、大阪の吉村知事が西村経産大臣に「勘違いされている」と指摘されたように、自ら企業TOPの判断に掛っているのですから、

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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