小島 健輔

2019 17 May

経産省が18年EC統計を発表

 経済産業省EC統計(電子商取引に関する市場調査)の18年度版がようやく5月16日に発表されたが、その数値は至極真っ当なものでサプライズはなかった。
 国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は前年から8.96%伸びて17兆9845円。うち物販は8.12%伸びて9兆2992億円、EC比率は0.43ポイント上昇して6.22%となった。うち衣類・服飾雑貨は7.74%伸びて1兆7728億円と物販ECの19.1%を占め、EC比率は1.42ポイント上昇して12.96%と13%に迫った。
 参考資料として添付されたEuromonitor社の推計値によれば、日本市場のEC比率は7.9%、同アパレルは14.0%、当社が145社を集計して推計したアパレルのEC比率は13.3%、SPACメンバーの平均値は14.3%だったから、12.96%という経済産業省の統計はやや抑制されたものと見るべきだろう。ちなみにEuromonitor社の推計では米国のアパレルEC比率を20.4%、中国を28.9%、韓国を17.9%としているから、推計の精度は高いと思う。
 同じく添付されたeMarketer社の推計値(18年11月)によると、米国のBtoC-EC市場規模は18年で5232億ドル、EC比率は9.8%、うちAmazonが48.0%を占める。米国商務省が公表した18年統計は5136.2億ドル、9.66%と誤差は2%弱で、当社が推計した米国内アマゾン総取扱高2394億ドルのシェアはeMarketer推計値対比で45.8%、商務省統計値対比で46.6%になるから、この誤差もそれぞれ3.0%、4.8%と許容範囲だろう。
 統計数値は集計方法や推計手順で多少は振れるものだが、使う目的が許容する誤差に収まれば十分に役に立つ。厚生省の勤労統計のような恣意的な操作は論外だが、経産省のEC統計は真っ当に集計して精査したものと信頼して良いだろう。

   
◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら