北村 禎宏

2020 31 Aug

間接感満載

 病は気からと言われるが、気は病からと逆の因果関係もしかりであろう。気をもって病を制御し続けてきた人間力には頭が下がる思いがあるが、気が折れたとき、病側に軍配が上がったのかもしれない。

 負託というあまり聞き慣れない言葉に接し、直接お願いした覚えは乏しいよね、という議論を塾生と交わしたのは一昨日のこと。唯一、直接選んだ間があるのは小選挙区制による候補者だけで、比例代表となるとそれは薄まってしまう。連立与党状態で片側の党の総裁が総理になる図式は、直接選んだわけでもなければお願いした覚えもないんだけどとなる。

 投票により直接選べる大統領制においても、米国のような選挙人制度が間に挟まると市井の民意がねじれてしまうことがある。
事程左様に民主主義を理念形で実現するのは難しい。

 一年という限られた人気の下で火中の栗とも言える現状に身を投じるには、想像を絶する人間力が問われると思うが、そのような逼迫感は微塵も伝わってこない。何をするかということより、誰にするかのロジックのみが先行し、危機感と決意のほどが私たちに示されるのはいつのことだろうか。事後的な作文と開示になることは致し方ないとして、せめてプロンプターを介しない自分の言葉で語りかける人物を期待する。