北村 禎宏

2020 29 Jun

オンライン学習続き

 WEB会議システムのアプリは多くのソフトが巷に出回っている。主たる三つのシステムを全て使っての経験値を得ることができたので、雑感をいくつか。

 もっともカジュアルで簡便性の高いのがZOOM。メインセッションとブレイクアウトセッションの行き来が極めてスムーズで、かつホストが受講生を強制的に移動させることが可能だ。ひとつのログインで大方の議論を完結させることが可能な利便性に優れている。セキュリティーの面に脆弱性があることから、一部の企業はオフィシャルな場でのZOOMの仕様を忌避している現状が残念だ。

 MSのTeamsはオフィスにおけるOSプラットフォームとの親和性が高く、これしか駄目という企業もある。いまのところ確か9画面が限界だったはずだが、一度にモニタリングすることができる画面の増強が望まれるところだ。

 シスコ社のwebexは、複数の会議室を立ち上げて、都度の退室入室が必要となる。会議室の数だけの端末がセッティングでき、熟練度の高いテクニカルアシスタントのサポートがあれば、ストレスなくサクサクとオペレーションできる。

 それぞれ、参加者の側もリテラシーが急速に進化している。ヘッドセットに照明と、極めて高品質な音声映像を提供できる人々も増えてきた。PCでファイルを画面共有しながら、スマホで自分と声は参加するマルチプレーヤーもいる。あとは、環境の違いによりできることとできないことが克服されれば、一歩次の段階に進むことができる。

 テレワークが安定的に定着した企業は既に乗り越えているものと思われるが、参加者のインフラのばらつきが思わぬ不自由を惹起する。無線WiFiが不安定だと落ちてしまう場合がある。ファイルの画面共有しながら参加者全員がビデオをオンにしていると、重くて動きが鈍くなる場合もある。これらは通信のトラフィックの問題で、優先LANを使うとか、通信容量を増強することで解消していくことが見込まれる。

 やっかいなのは、セキュリティをともなう端末の種別の問題だ。全国に散らばる受講生を動員するリモート研修では、それぞれの参加者の状況は多様だ。オフィスの自席の人、オフィスで会議室やテラスを利用できている人、そして自宅からの参加者。もっともクリティカルな要素は、端末がPCなのかスマホなのかということと会社支給なのかプライベートなのか。

 会社支給であれば、共有フォルダーやメールソフトにアクセスして用意し忘れたファイルを取りにいくことができるが、プライベートの端末に必要なファイルを事前に取り込むことを失念していると、少々やっかいだ。ファイルをもっている受講生から他の受講生にメールで飛ばしてもらおうとしても、対外的なファイルの添付には上長の承認が必要と断念したこともある。大会社の場合、同じグループであっても法人や事業部が異なれば対外となってしまうのだ。

 私たち主催者側がその場で各人のメアドにファイルを送信するのは禁じ手だろう。予めの準備の過程で漏れや参加者のうっかりがあった場合のリカバリーは今のところ困難だ。各Web会議ソフトの画面共有機能は、現時点では文字通り画面を通じての視覚的共有に留まる。ホストがアップしているファイルを参加者が自在に取り込めるようになるのが望ましいが、セキュリティの問題が立ちはだかる。この点がクリアされれが、リモート研修もストレスフリーの次元に突入するだろう。

 最後に運営上のノウハウの蓄積がなされていけば完璧だ。オープニングはリアルと遜色なく自然にローンチして、本編に接続することはさほど難しくない。問題はクロージングだ。締めとなるメッセージはリアル同様提供可能であるが、画面ごしの音のない拍手もしくはチャットでの「88888」は、さすがに臨場感が乏しい。さらに事務局側に事務連絡のバトンを渡して、それが終了したあと、参加者が三々五々退出していくエンディングは、どうにも締まりが悪い。

 ピシャっと潔く終了する方法を模索していくしかないが、何かよい知恵や経験をお持ちの方がいらっしゃれば、授かりたいものだ。