北村 禎宏

2018 28 Nov

ザ行とガ行

 ザ行には音感とビジュアルの両面で際立った存在感がある。ガ行もそれに準じる
法務担当に異動になって最初に勉強したのは「知的財産権」で、なかでも商標法は詳細にわたる知識が求められた。

 法的なスキームや手続き上の知識だけでは実務に追いつかないことから、ネーミングに関するマーケティング的な文献や著述も読み漁った。強く印象に残っているトピックの一つに、富士フイルムが発売したカセットテープ「AXIA」に関する解題がある。

 今の人々は簡単にアクシアと発音できるだろうが、当時は一見してはどう読むのだろうか???という世間の反応だった。読めないもしくは読みにくいネーミングって、それはありなのだろうか、との疑問に対して、だからこそ大いにあり得るという論調だった。ビジュアルが形として記憶に残って、どう読めばいいのかよくわからないそのことが更にその印象を深く刻み込み、店頭でそのロゴが目に飛び込んできたときに「あっ、これこれ」となれば、マーケティング的には大成功だというわけだ。
ビジュアルに強く飛び込んでくる形としては「X」や「Z」がある。読みでは「ザジズゼゾ」と「ガギグゲゴ」に通じる。

 最近ではZARA(ザラ)、RAIZAP(ライザップ)などが、ザの代表例だ。ジーザスという響きもどしんと重く感じられる。これは2000年の年代ものだ。ゼクシーやゼクシオも素晴らしい。ZOZOもそうだし、OZOCもだ。エグザイルにいたっては王者のように君臨するベストネーミングといえよう。

 そう言えば、ウルトラマンの最後の宿敵はゼットンだった。ザ行ガ行の法則は古くから適用され続けて今日に至っている。「ゴーン」からもどっしりした語感が伝わって来るが、文字通り「行ってしまった…」。