マサ 佐藤

2018 04 Sep

客数が減ることほど怖いものはない?

★MDは客数・客単価。MDがどちらを重要視すべき?

皆さんもご存知のことでしょうが、組織の売上は以下のように分解出来ます。

”売上=(買上)客数×客単価”

売上が下がっている場合は、どちらの項目が下がっているのかに着目し、どちらかの数字を伸ばすことができれば必然売上は上がります。

 

では?MDとして客数。客単価どちらを重要視すべきか?と問われれば、当然私ならば客数を重要視します。

では?客単価は全く注目しないのか?と言われれば、分析すべき指標として活用しなければなりません。因みに客単価を更に分解すると、以下のようになります。

”(商品の)1点単価×SET率”

このことでMDがとくに注目すべきは1点単価の方です。

 

1点単価を上げる方法として一番手っ取り早いのは、商品を値上げすることです。しかしながら、この値上げという手法は当然デメリットがあります。

(個人的には値上げという手法は必ずしも悪いことではないと感じている。しかし一番してはいけないのは、価格も原価率も譲らず、商品の質を低下させることだ。)

 

★1点単価の上昇は客数と反比例する?

以前このブログにも記載しましたが、1点単価は上昇と反比例して客数の減少を招きます。UNIQLOが数年前に一時的売上が大きく下がったのは、商品の値上げで客単価が上昇した以上に、客数が減少し売上が下がったことでした。そのことに気づいてからは、売上は回復しましたが、このようなことは、他の組織でも多くみられることです。

 

下記はある組織の2012年を基準年とした売上の推移になります。客単価の上昇(基準年に対して)とともに客数が大きく下がっています。

★いつの間にか値上げが一番良くない!

この組織は、客数と売上の推移が比例しています。逆に客単価とは反比例の結果になります。この組織は分母が大きいため、SET率の増減は少ないと考えられるため、客単価の上昇分は値上げ分と捉えても良いでしょう。(セール施策でも左右されるが...。)

 

値上げを実行したことによりある年までは、売上が回復したように見えますが、その後その影響で客数が下がり、同時に売上も大幅に下がっています。

値上げの要因としては、原材料の高騰。人件費の高騰等が考えられますが、そのことは顧客には伝わりづらいので、値段が高まれば自ずと客足も遠のくのでしょう。(そのような理由で値上げせざるえない場合は、顧客にそのことを正直に伝えるべきだ。)

そして、何よりもたちが悪いのは、このことが組織として意図的に行われていれば、組織も覚悟のことなので仕方のないことだとは思いますが、自分たちも気づかないうちに、値上げが実行されているケースです。

 

このようなことは、顧客ありき。ではなく、(仕入)原価率ありきで売価設定をしている組織に多くみられる傾向です。そのことによって、客数が大幅に下がり、売上も下がりでは、気づいた時には顧客の足は遠のき、戻そうとしても戻らず、取り返しのつかないことになってしまいます。

 

★客数は顧客の支持を表す指標??

(既存店)客数の増減の推移は、顧客のブランド・ショップに対する支持を表す指標です。だからこそ、MDはこのことを重要視しなければなりませんし、客数を上げる努力をしなければなりません。

(セールすることで客数にどのような影響を与えるのか?も、組織の癖を知っておかねばならない)

客数は一般的には以下のように分解できます。

”(買上)客数=来店数(ECの場合はPV・UU数)×買上率”

です。

 

来店数の減少は、館の来店減少。気候の影響等の外的要因に大きく影響されることがあります

しかしながら、その殆どが競合他社も同じことが言えるので、その場合は館の来店数の推移と自ブランドの推移の比較や、競合他社との比較から、内的要因を導き出さねばなりません。内的要因の解決がない限りは、来店数の減少を食い止めることは出来ないでしょう。昨今、低コストで来店数を測定するシステムも開発されていますから、そのようなことで、問題を具体的に抽出し、対策・改善を講じるべきです。

 

また買上率の減少は、商品そのものの問題と捉えるべきです。よく出来の悪いMD・バイヤーはそのことを”販売力の低下”などと称し、現場(店頭)に責任を転嫁することが多くみられますが、そのようなことでは、商品の問題は永遠に解決されませんし、客数も下がり続けるだけです。

買上率の低下=商品がダメ!と捉え、商品系MDの具体的を抽出すること。また合わせて一点単価と客数の関係を併せて、組織のMD体系そのものの問題を炙り出すこと。このことが大事です。

 

★売上ばかり見ていてはダメ

この業界の慣習として、売上ばかり重視する傾向にあります。

そのことによって、”気づく”スピードが遅くなり、必要な対策を講じることも遅くなります。

 

だからこそ、売上が上がっていても客数が下がっていれば、それは(その分)ファンを失っていることとイコールと捉えなければなりませんし、売上を分解し、またそのことを過去の数字の推移等を検証することで、その組織の問題点を抽出する。また同時に、客単価や粗利・在庫の数字の推移を相対的に、多角的視点で(買上)客数を分析することも大事です。

そのことで、商品系MDの問題の本質が、商品を仕入れる仕組み・作る仕組みにあるのか?組織の体系に問題があるのか?人そのもの意識に問題があるのか?を具体的に抽出し、問題点の改善を実行しなければなりません。既存店客数が減少するほど、MDにとって恐怖なことはないのです。

 

今回のブログが少しでも、皆さんの現状の問題に気づくきっかけになれば幸いです。以上で終わります。

ファッションMD講義。マネジメント講義「正羽村塾」企業・個人問わず、受講受けつけております。ご興味のある方は下記リンクをクリックしてください。

http://www.msmd.jp

私の記事はfacebookでもご覧いただけます。気軽にフォロー・友人申請してください。

https://www.facebook.com/masafumi.sato.777

この度はブログをご覧頂きありがとうございます。次回もどうぞよろしくお願い致します。