マサ 佐藤

2018 07 Sep

アパレル小売業における売上原価とは?

★売上原価とは?

今回のブログはいつもと趣を変え、会計的なこと。アパレル小売業における”売上原価”について語っていきたいと思います。

 

常日頃から、この業界。とくに小売業の仕事に携わる方は、常日頃から”売上”に一喜一憂し、休みの日でも気になっている人は多くいる筈です。しかしながら、このブログでも常々書いているように、MDならば”売上”だけでなく同時に粗利益も気にしなければならない。と言っています。

例えば、売上1億円で粗利率が57%だと、当然のように粗利益高は5700万円になります。すると売上原価高は?

上記の図をみてもわかるように売上原価とは、

”売上高-粗利益高=売上原価高”

という式に表され、要は売上高から粗利益高を引いた4300万円が”売上原価”高ということになります。

上記の図を見てわかるように、粗利益と売上原価は対の関係になっています。また、小売業的に簡単にいうと、商品の売れた分の(仕入)原価金額ということになります。

 

★費用収益対応の法則

因みに損益計算書に記載する売上原価は、収益が発生した期間内で計上しなければなりません。要は売れ残りの仕入原価分は計上しないということです。

ですから、オーバー仕入で商品が多く残っていても、その商品は基本売上原価とは無関係。言ってしまえば、損益計算書には影響しないということになります。

 

★売上原価は売れた原価分以外も計上しなければならないものがある?

売上原価は、先述したように基本売れた分の商品の原価額ですが、そのこと以外にも計上しなければならない項目があります。

以下そのことを示すと?

 

① 商品が売れた分の原価分

② 棚卸ロス分(実地棚卸の際判明した、ロス原価分)

③ 商品の評価損分

 

この3つになります。①は皆さんもご存知のことかと思いますので、解説ははぶきます。

 

②に関していうと、棚卸の際に判明するロスの分です。これは簡単に言うと、あるべき在庫から棚卸をとった差異のことになります。

例えば、9月のある商品の期首在庫が20。9月1か月で仕入れた数量が10。9月1か月の売上数は15。すると、9月の期末在庫数は15。この数が絶対になければなりません。このことを理論在庫と言います。

しかしながら、9月末の実地棚卸の数量が12だった。3合いません。この3のことをロスといいます。

ロスの要因は盗難やB品等です。商品管理悪い組織は総じてこのロスが高まります。

 

話を戻すと仮にこのロス数3が1あたりの原価1000円だとしたら、3000円のロス原価が発生するということになります。この3000円も売上原価に計上しなければならないということになります。

裏を返せば、売上原価3000円が増えた分、粗利益高3000円減るということになります。

(上記の図を見れば、この関係性がわかる筈)

 

★売上原価があがれば、粗利益が減る。

最後に③です。これは低価法という法律で定められたことになります。

例えば、この業界では(一定の)期間内で売れ残り出ます。とくにアパレル業界はトレンドに左右されることも多いため、次年度はその商品自体の価値が低下してしまいます。要はそのような商品に対して原価を下げて、(その商品の)評価を下げる(評価減)ということです。

 

更に詳しく説明してみると、

ある年に売れ残り100万の在庫原価があったとする。その商品は棄てることはなく再販予定ではあるが、(商品の価値が下がり)元売価で売ることは困難ため、在庫の原価金額を70万に評価を下げた。すると30万の評価減をしたということになります。この金額も売上原価に計上しなければなりません。これも裏を返せば、売上原価30万計上したいうことは、粗利益が30万減るということなります。この業界でいうところの商品を多く残した組織は、評価減で粗利益が下がり、組織の収益が悪化するということになります。

 

これは、出した損失はなるべく早く計上するという、会計的考え方に基づいたことになっています。

このことが理解できると、組織としての商品管理や店舗設計が販売員にとって働きづらい環境だったり、MDの数字的な仕組みが適当で多くの(鮮度が下がってしまった)在庫を残す。ということは売上原価の増加を招き、粗利益が下がる。そして組織の収益構造が改善しない。ということに繋がります。当然のことながら、過度なセールは粗利益低下に繋がります。(セールの場合は売上が大きく伸びる可能性があるので、粗利率は低下しても、粗利益高を計画的に確保できる可能性はある。)

 

★売上原価は在庫の増減を左右する。

最後に、売上原価は在庫の増減も左右します。売上原価高が大きければ大きいほど、在庫高は減ります。しかしながら、上述したように売上原価高が増えれば、粗利益高は下がります。このことと店頭や倉庫。また商品等の皆さんの日々従事している仕事と結びつけて考えることで、皆さんの仕事の目的・本質が再確認できるかもしれません。

 

皆さんもこのブログをきっかけに少しでも、小売業の数字に関心を持っていただけば幸いです。

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