マサ 佐藤
そのルール・決まり事は目的に適ってますか?
私は以前このブログでも掲載したように、「プロパー消化率」という概念は、さしたる重要性がないと判断しています。
では、そもそも「プロパー消化率」を集計・理解しなければならない目的は一体何のか?と私なりに考えてみると??
・定価販売の比率が多い方が、当然ブランド・ショップとしては優秀である。そしてその指標が高い方が良い?
・プロパー消化率が高いと、ブランド・ショップが正しい方向性を歩んでいる?
まあ、こんなところなのでしょうか?
そういった、プロパー消化率をMD予算設計に活用している組織は多くあると推測されます。しかしながら、この指標をMD予算設計に利用。また、期中の分析に活用することに一体何の効果が上がるのでしょうか?
そもそも「プロパー」の言葉の意味を調べると
・「本来的で固有のもの」
・「正しい・適切な・特有の」
等の意味があります。この言葉を原理的に捉えるならば、「プロパー消化率」の「プロパー」の定義は、顧客側からの視点で考えた場合、「固有の売価が適切。または正しい。魅力的だと感じて購入する。」ということにならないでしょうか??そう考えた場合。例えば、ルミネ10%等のポイント的なイベントは「お客様が固有の価格より安いということに期待をもって購入している」のであって、このケースはもはや「プロパー」と呼べるケースではありません。
また、そんな定義の難しい「プロパー消化率」をましてや、MD予算設計や分析等に利用して何の意味があるのでしょう。ただただ作業負担と無駄な時間・議論が増えると感じているのは私だけではない筈です。
しかも、単純に粗利益の観点からみてもこんなことが言えます。
①売上100万円で粗利率40%。粗利高40万でプロパー消化率が高い。
②売上80万で粗利率55%。粗利高44万で、①のケースよりプロパー消化率が低い。
この場合①②のケースで、どちらか一つを必ず選択しなければならないとすれば、MDとして選択すべきはどちらのケースなのでしょう?私なら当然②を選択します。
例えば、セレクトショップ等でいうと、値入が悪くてもルールとしてセールのできない商品が数多く存在します。このような商品はインポートのダウン等で見られることですが、こういった商品が多く売れれば①のケースに該当します。例えプロパー消化率が高くても、利益はさほど上がらないケースも多々あると捉えることができます。
ブランド・ショップ等アパレル小売業の目的は、ブランド・ショップコンセプトの範疇内で、「お客様を生み出すこと。」が目的です。そしてその数が多くなればなるほど、目的を達することになります。
ということは?ときにはセールすることも、「新しいファンを増やす」という組織の目的とブランド・ショップコンセプトに適うことであれば、効果がある行為ということもできます。
しかし、過度なセール行為はお客様の信頼を失うことにもなりかねませんので注意が必要です。
発注権限をもつMD・バイヤー等の目的は、組織の目的を深く理解した上で、「売上」「粗利益」をより多くすることです。
であるならば、定義が難しくややこしい指標。そして作業・仕事を増やす「プロパー消化率」などを利用する。分析する?よりも、戦略的に値入率・粗利率を考える、設計する。そして全体のOFF率(これはややこしくない計算で出てくる)をチェックするくらいに仕事をシンプルにし、時間のかかる作業を削減。その空いた時間で、現場に足を運ぶ時間を増やす等有効活用した方が、企業・小売業を運営する組織の目的に適うことになるのではないでしょうか?
自分たちの組織のルール・決め事。また世間で言われる正しい・絶対ダー!と言われることも、そのことが企業・小売業の本来の目的から適うものでなければ、棄てる覚悟も必要です。