マサ 佐藤
%表記に惑わされるな!
どのジャンルの企業・組織でも、その業績の良し悪しを判断するときに使われるものは「数字」になります。
例えば、売上高100億円。前年比10%増。そういった使われ方をしますし、そのような報道がなされると皆さんも、「あの企業は調子いいんだな」と判断する筈です。
★金額そのものと%表記の両方が使われる。
判断材料としての数字は、金額そのものを表す「高」とともに、この業界でも良く使われるのが、「%表記」です。
とくに%表記はこの業界では、ポピュラーに使われます。その使用例としては?
→比較対照する際に使用するもの。
・(既存店)昨年対比・前週比等
→割合を表すもの
・EC売上構成・カテゴリー別売上金額構成・在庫金額構成
・月売上構成・週売上構成・曜日別売上構成
・粗利率・売上原価率・消化率
簡単にですが、表記するとざっくとこんな感じになるでしょう。
★%表記だけみると本質を見誤る??
しかし、この業界にありがちなことですが、%表記だけしか見ないと、ときに本質を見誤ることがあります。
昨今、EC売上構成を上げることが呪文のように唱えられています。EC売上構成が10%を超えていないと、「あの企業はまずい!」「時代遅れだ!!」のように書きたてられたりもします。しかし以下のような例ではどうでしょう??
UNIQLOの2017年8月期のEC売上は487億円。EC売上構成は6%。前年度15%売上増です。この数値だけみると、「UNIQLO大丈夫か??時代遅れ??」「実店舗重視しすぎじゃねえ?」なんて声が上がりますが、1年で約63億円もの売上増です。その前の年度は100億円以上の売上増です。
確かに、EC売上構成のアップ率は鈍いですが、それは分母が大きいから当たり前のことです。そもそも全国津々浦々に実店舗を構え、他社に比べ実店舗が身近に存在するUNIQLOのEC売上構成比などそう簡単に上がる筈もありません。(今年は実店舗も好調に推移)
EC売上構成が高いと言われるセレクトショップはEC売上構成30%以上の企業もあるそうです。しかし、仮にそのような企業の売上が200億円の売上だとしたら、ECは60億円の売上高です。しかしながら、その売上高は単年度のUNIQLOのEC売上増にも及ばないということになります。さらにいえば、2年で160億円以上ものEC売上増をしている組織がどこにあるのか??ということです。
そして、EC売上構成などいうものは、企業・組織全体の売上が下がり、EC売上高が横ばいであれば簡単に上げられるということです。
★昨年対比を見るときも注意を!!
また、「昨年対比が10%以上で好調」なんて数値があらわれるときも注意が必要です。
仮に昨年の売上悪ければ、超えるべきハードルが低くなります。そうなるとこういう数値は出やすいということです。その逆もあります。昨年対比をみるときは過去数年の数値の推移を調べることが重要です。そこで(できたら好調年)基準年を設け、その基準年に対して、どうなのかを見ないと本質を見誤ることになります。仮に昨年対比が悪くても、超えるべきハードルが高すぎれば、それは言うほど大したことないよ!という可能性もあります。
そして、数字自体の分母の大きさ・小ささにも注意を払うことが必要です。
★%表記を活かすには??
では、%表記はどのような数値をみるときに活用したらいいのか??というと、その企業・組織の癖をみるときに活用しろ!ということです。
例えば、月・週等の売上構成。8月と10月の売上構成が殆ど同じような組織ならば、その組織は季節・気温左右されにくい商売?セールの影響が少ない組織?等ととらえることができます。
また、カテゴリー別売上構成の推移はMDにとって重要な指標の一つです。このことが、ある意味そのブランド・ショップの個性を表します。また、これを基にMDディレクションとの整合性をとらなければなりません。売上金額構成と在庫金額構成を比較することも重要です。このバランスがおかしければ、何らかの不備が発生しているということに繋がります。
★数値は容量で見る
基本数値を見る。分析する際は、売上等の高。%表記の両方をみることが重要です。しかしながら、一番重要なのは数値は容量でみるということです。
例えば、売上100億円の企業が、B品等のロスを0.1%減らしただけでも、1,000万円の利益が増えたと同じことです。1,000万という札束が積みあがっているのを容量で想像すると、よりその重要性が見えてくる筈です。
今回のブログが目先の%表記やEC売上構成に惑わされず、企業・組織・ブランド・ショップそのものを向上させることのきっかけになれば嬉しく思い、終わりにします。
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