マサ 佐藤

2018 20 Jul

仕入原価率を下げることは悪いことではない。

★初めてMD・バイヤーになったときに上司からこう言われる筈だ。

アパレルに限らず、小売業の仕事に携わり初めてMD・バイヤーの職に就いた時、

”(仕入)原価率(掛率)の設定は守るか、それ以下にしてね!”

と上司から言われる筈です。

 

昨今、あたかも(仕入)原価率が高い=良い商品と言っているような組織がありますが、仕入原価率を上げるのはMD・バイヤーにとっては、たやすい行為です。実務経験がある方ならおわかりでしょう。寧ろ、仕入原価率を下げようとする行為はMD・バイヤーにとっては職務として正しい行為ですし、そのことに何ら疑いの余地はありません。

 

なぜならば、仕入原価率が低いということはより「粗利益を多く獲得できる」ことに繋がる一番の手段であるからです。小売り側ができる一番簡単な仕入原価率引き下げの手段は「値上げ」です。ですが、価格はブランド・ショップを顧客にイメージさせる大事なことであり、そう簡単に値上げを実行するわけにもいかないでしょう。

 

★何もリスクを負わず「原価率を下げて」では虫が良すぎる??

しかし、仕入先。とくに工場やメーカー側から物事を考えると、数量・金額もたいしたものにならない。一度は多くの発注をしたが、次回は発注0。などが続くようでは、そうも簡単に(仕入)原価率(掛率)を下げることなどできません。

 

仕入先側が小売り側に期待することは?

①金額・数量の大きさ

②持続可能な関係性(継続すること)

が何よりも重要です。このことを理解せず、自分たち小売り側の都合だけで「原価率の引き下げ」を主張するようなMD・バイヤーはすぐにでも職を辞するべきです。また仕入先側も目先だけの金額の大きさに左右され、持続可能な関係を自分たちの方から放棄すべきではありません。

★数量・金額を多くする方法はどんな方法があるのか??

数量・金額を大きくするには、(MD的にみて)どんな方法があるかというと?

① たくさん売れる商品を作る。仕入れる。

② 出店増で売上金額が上がる予定がある。(事業計画の段階で詳細でリアリティーのある成長戦略を描いておく)

③ 投入アイテムを削減し、1アイテム辺りの数量を増やす。

以外にもありますが、ザックリ言うとこんな感じでしょうか?

 

①は言うまでもなく、MDで一番大事なところです。当然難しくもありますが、顧客視点で違う角度から物事を考える。ブランドの付加価値を創造する。価格以上の価値を顧客に認めてもらう等。とにかく一番時間をかけ頭をフル回転させる部分でしょう。

②は言うまでもなく経営の問題。このことの計画が出来ているのであれば、先々の関係性を含め具体的な金額・数量を前もって伝えておくこともできます。しかし、最初が×だと事業中止になる可能性もあるので、そのデメリットも伝えるべきですが...。

③はMDの設計の問題です。アパレル小売業はECを含め、投入アイテム数が多すぎるように感じるのは私だけでしょうか??商品数を絞ることによって、1アイテム辺りの数量を増やすということも多くの組織が考えなければならないことです。また仕入先側から見ても、多くのアイテム数をチマチマ発注されては仕事の効率はあがりません。

(逆にチマチマ作ることができる。というのも売りにはなるでしょうが、小売り側との親密な関係性があってこそでしょう。)

 

更に付随して言うと、MDは予算作成段階から生産・バイイング含めた店頭着までのMDスケジュールを作成すべきです。そうすれば、MDは年・最低でも半期では予算を組んでいる筈ですから、点での商品発注ではなく、線での金額・数量で仕入先との交渉も可能になる筈です。同時に持続可能な関係性についても交渉することが出来る筈です。

 

★MDは必要以上の仕入はしてはならない!

MD・バイヤーの中には「数さえだせば、原価率下がるだろう!」ということを表面上だけ理解し、ミニマム通りの発注をする等。売れる分以上にたくさんの仕入をしてしまう人も多くいます。

数量が多くなれば、仕入先は喜び、(仕入)原価率が下げてもらえる可能性がありますが、余計に仕入すぎたことで結果的に過度なセールを強いられ、粗利率が下がる。更に在庫が残るでは本末転倒でしかりません。

 

MDの仕入の基本はあくまで「売れるぶんだけ仕入れる」ということです。

その制限の中で仕入原価率を抑えたいのならば、先述したことや更に様々な角度から広い視野で物事を考え、実践することが重要です。更に言うのであれば、仕入原価率を下げることも大事ですが、最終的にどのくらいの売上・粗利率を目指すのかをしっかり理解した上で、MD戦略を考えることが何よりも重要なのではないでしょうか。

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