マサ 佐藤

2017 04 Dec

分析において「タラれば」は必要だ

小売業に携わる皆さまであれば、日々・週・月の売上データ。とくに売上ランキングはつぶさにチェックしていることだと思います。当然当事者ともなれば、期中の売上データ分析しているでしょうし、そのことによって追加・セール等の先の分析に使用していることでしょう。

 

そんな期中でのデータ分析も重要ですが、今回取り上げるのは過去データの分析です。

 

★過去データを活かしきれているか?

アパレル業界では次期・来期商品の構想・ディレクション、遅くとも半年以上前。早ければ1年以上も前に準備をしなければなりません。

当然のことながら、MD・バイヤーは、トレンド分析をしたり、過去の売上データを見て次期・来期の商品計画を考えている筈です。

 

場合によっては、計画生産で工場の閑散期?を利用し、1年も前に発注する商品等もあります。そのような商品は当然のことながら、(定番と称した??)過去踏襲商品になる筈です。

私は過去踏襲商品を否定しませんし、1年以上前に発注する商品を新しいデザイン??なんてことはあり得ないですし、無意味でもあります。(だったら今のシーズンでその商品出せばいいのに・・・)

 

ただ、様々な方面から聞いていると、その過去踏襲商品は失敗し、在庫を多く残すケースが多いようです。

なぜ、そのようなことになるのか??私なりに感じたことは、やはりこの業界では「過去データ」を軽視。または、売上以外のことをみていない。というところにつきます。

 

★「逆説」で考え、線と線を繋ぐ

​期中の売上分析は誰もが興味を持ち、行っていることです。しかしながら、トレンドに流されがちなこの業界では、過去データ分析を軽視する傾向にあります。その結果が過去踏襲商品の失敗に繋がるわけです。

 

例えば、過去売上データを分析をする際に、多く見られる傾向が、売上の上位を調べるという傾向です。半期・月・シーズン様々なデータを殆どの組織が出せる筈ですが、所詮過去データというものは、その時点での結果です。​その間のこと、また現場で起こっていることは表現されてはいません。ということは、時点・時点での結果を線で繋ぎ、当事者たちが、その線を推理・推測するしかないということです。

 

例えば、売れている商品で今後も売れる見込み立ちそうな商品でも、良いところを探すのではなく、悪いところを探す。「逆説で考える」ということです。

 

→もし、このコートが1センチ身幅が大きければどうなった??サイズ展開を変えていたら??カスタマーサポートの悪い意見を洗いざらい分析し、そちらの意見を「正」として考える。他にも様々な逆説を立て、悪いところを探すことです。

そのことで、もしそのままでよければ、そのままに。悪ければ、デザイン・生地等の修正。場合によっては中止。等の決断に繋げればなりません。

 

→また、売上上位に入ってこない、目に見えない商品にも目を向ける必要があります。例えば、色を変えていたら??出す時期を変えていたらどうなった?実は発注数量が少なすぎて、すぐに売り切れていた商品の発注数量を変えていたら??等です。他にもいろんな角度から「タラれば」で分析できる筈です。

 

★「過去データ」は組織の宝である。

​そして、売上だけでなく、粗利率の推移。OFF率。仕入。在庫を一気通貫で考えた分析。その他様々な分析をし、帰納的思考ではなく、演繹的思考で考えることこそ重要です。そういった情報は、ある程度のシステムがあれば、必ず組織のデータと存在する筈です。そして、そこには必ず、組織の癖も表現されている筈です。

 

昨今、この業界では同質化が叫ばれて久しいです。トレンド分析の精度が上がるほど、そうなるのでしょう。しかしながら、組織によっては、トレンド分析以上に「過去データ」の活用すれば、状況を打破できる組織もおおくある筈です。

 

組織にとっての「過去データ」は宝です。だからこそ、誰もができるような分析だけでなく、仮説をたて、「タラれば」でデータの線と線を繋ぐ等活用し、そのデータを活かしきってほしいと願うばかりです。

 

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