マサ 佐藤

2018 12 Feb

お客様を喜ばさせる商品計画を設計せよ!

★私のブログではよくOTB表を活用せよ!と言っているが...。

先日、UNIQLOの月次売上速報で1月は

”在庫不足のため、寒波に対応できず既存店売上が下がった。”

というニュースが出ていました。このご時世に在庫不足で売れない!とは、ある意味凄いことです。

 

ここで話は変わり。先日、現在立て直し中??のあるの組織の決算関係書類を拝読していると、以下のような文言が書かれていました。

 

”従来,OTB形式(在庫量に応じた仕入量の調整)で仕入・在庫管理を行ってまいりましたが、MD計画販売方式に移行して参ります。”

 

と書かれていました。この文章自体は一見、良くできているように見えますが、この組織。また改革に関わる人は、恐らくあまりMDのことが理解できていないのでしょう。

そもそもマーチャンダイジングは商品計画という意味でもあり、MD計画では商品計画計画の意味になってしまいます。(私もこの間違いをよくにする(笑))

 

★OTBとは?

上記の文章で書かれていたOTB(open to buy)とは、私のブログや連載でそのことについて良く触れているのですが、めちゃくちゃに端折っていうと以下の数式になります。

期首在庫+(期間)仕入=(期間)売上+期末在庫

 

​このことです。前出の組織はおそらく、季節やトレンドにより変化する顧客のニーズを掴み、詳細に商品計画をを変化させていたのではなく、おそらく各月・半期??等の在庫金額ターゲットが決まっており、売上の予測と商品の現状を見ながら、在庫ターゲットに合わせ、作業的に仕入を行っていたのでしょう。時には売上が悪いときもありますから、そのときは在庫ターゲットに近づくようにセールを行い、在庫消化し、仕入枠を空けていたのだと推測されます。

 

(期間)仕入=((期間)売上+期末在庫(ターゲット))-期首在庫

(この公式を持ちいること自体は全く間違いではない。むしろメリットの方が多い)

 

​おそらく、上記の数式を用い、仕入・在庫コントロールをしていたと推測されます。

 

★OTB形式が悪いのではない、今まで顧客の方を向いていなかっただけ。

ここで話は戻り、前出の組織の文言の何がおかしい??のかというと。そもそもOTBの論理を、機械的に仕入・在庫量を調整するためだけのツールとして使っていたのだろう?ということに問題点があります。(そもそもまとまなMD管理ツールを確立している組織自体すくないが...。)

 

お客様のニーズに応える、具体的な商品計画を実行する企業であれば、(商品計画を)必ず数値化し予算設計しなければなりません。そこでOTB形式を止め、新しい数値表現を使用するとしたら、おそらくその企業の改革は大失敗する筈です。

 

前出の組織が、本当に改革する気があるのならば以下のように言わなければなりません。

”今までの金額調整だけを見たMD体系は止め、自分たちの組織の長所を活かし、顧客のニーズに応え、きめの細かいサービスを提供するため、MDを詳細に設計する。そのMD設計をOTB形式で具体的に表現をし、期中での管理・運用の精度を高め「お客様に喜んでもらう」MDの体系を作る”

と言えばその組織の本気度が伺えたでしょう。

 

★感覚だけでも×ロジックだけでも×

​前出のUNIQLOは1月は数字は落としましたが、この秋冬商戦は国内既存店昨年対比108%以上の売上です。UNIQLOで半期で8%増というのは、ザクっと推測しても400億以上の売上アップです。(アパレル小売業で年間400億以上の売上があるのはごくわずか。そのことを事前計画に盛り込むには勇気がいるのは、皆さんならおわかりだろう。)そのためには、事前に顧客に喜ばれる商品自体のクオリティ・品揃え計画の向上と事前の計画がうまく合致していなければ、こんなことは起こりえません。

(この冬の寒波が想定以上の売上を叩き出した。構造上、かなり早めに商品を仕込まないといけないので、1月は在庫不足に対応できなかったが、現状では仕方がないと言える。良い商品を都合よく早く作るのは至難の業。)

 

要は数値だけみての帳尻あわせや、理論だけを信じる商品計画では、お客様はおいそれと商品を購入することはありません。また感覚だけに頼った商品計画。ヴィジュアル計画のみは素晴らしい商品計画でも、それが絵に描いた餅の理想だけの計画ならば、その組織の業績が上がることはありませんし、在庫の山が積みあがるでしょう。

 

(商売)感覚と数値管理はどちらも、「お客様を喜ばさせる」商品計画には欠かせません。だからこそ、自分たちの組織ができるお客様に喜ばれる、MD手法を感覚・数値。両面から考え、表現・運用出来なければ、このご時世生き残っていくには厳しいと言わざるえません。

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