マサ 佐藤
原価率の高さは決して顧客の得にはならない?
★小売業で使用するのは、仕入原価率
小売業でよく言われる。「原価」とは?仕入原価のことになります。これは製造原価のことではありません。これは当然アパレル小売業にも当てはまることになります。
そして、(元)売価ー仕入原価=値入高になります。元売価1,000円のものを仕入原価400円で仕入れれば、仕入原価率40%。値入率60%になります。またこの商品が、元売価で売れれば、粗利高600円。粗利率60%。売上原価率40%になるということです。
★仕入原価率が高ければ、MDとしては失格?
仕入原価率の高いのは、MD視点でみればはっきり言って良いことではありません。なぜならば、MDの仕事の目的を「多くのお客様を獲得し、売上高・粗利高をより多く獲得すること。」が目的とするならば、仕入原価率の低さは、仕事の目的の「粗利益をより多く獲得すること」の一番手っ取り早い手段になるからです。
★原価率の高さ=商品クオリティの高さにはならない?
昨今、原価率の高さ=商品クオリティの高さ→(顧客に対して)良い商品。を売りにしているショップ・ブランド等があります。しかし、これがもし仕入原価率の高さを言っているのだとしたら、それは完全に間違いです。そして、顧客に誤った情報を提示しているということにもなりかねません。
そもそもアパレル小売業、とくにオリジナル商品と言われる、独自開発??商品の製造原価をより詳細まで把握しているMD。いや経営者等は殆どみたことがありません。(MDが把握すべき仕入原価であって、必ずしも製造原価を詳細に知る必要もない。しかし、それなりの知識は必要。)
話を百歩譲ると、仮に製造原価が高ければ、=商品クオリティの高さに繋がるかもしれません。しかし、そのことも製造枚数が少なければ自ずと製造原価は上昇するのであって、その議論も殆ど意味がないと言えるでしょう。
例えば、UNIQLOと売上規模100億円規模の会社が、全く同じ工程・生地・付属等でまるで同じ商品を作っても、製造原価高はUNIQLOの方が安くなります。(当然、仕入原価も安くなる)
また、UNIQLOは仕入原価ー製造原価の差額が少ないとも推測されます。そして、仕入原価率は40%程度では?とも言われています。更にスケールメリットがあります。その一方。オリジナル商品をOEM・ODM業者に頼っている組織は、当然ある程度の仕入原価ー製造原価の差額がある筈です。となると?原価率の高さを主張している組織を調べ、製造原価率で彼らの主張を見るならば、おそらく主張する数値の乖離が発生する筈です。
そもそもが、原価率が高いからと言って、必ずしも商品クオリティの高さには繋がりませんし、スケールメリットのある組織が、低い原価率で(価格以上の)商品クオリティの高い商品を出すことは可能である。ということです。
★小手先の手法で勝負しても顧客には支持されない?
このように、原価率の高さ等を売りにすれば、必ず誰かにその矛盾を突かれ、ブーメランのようにその組織にデメリットとなって跳ね返ってきます。しかもそのことを顧客目線で見れば、原価率が低くても欲しい商品は買うのであって、小売業そもそもの本質とはズレが生じます。
大事なのは、そのような小手先の手法で売上を伸ばそうと考えず、もっと真摯に顧客に向き合い、そして考え、自分たちの組織の長所を理解した上、具体的なコンセプト設計・見直し。販売(EC含む)・MD。またPRと組織が一体となって、同じ目的を共有。そして戦略を構築し「お客様に喜ばれるには?何をすべきか?」ということを第一に考える・実践することが重要なのではないでしょうか?
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