マサ 佐藤
アウトレットはない方が良い??
★今年の2月は冬物セール品を継続しているところが売れた??
今期の冬が寒波ということもあり、1・2月に冬物の在庫を多く抱えた(たまたまそうなった??)ところ。2月は春物でなく、冬物セール品を中心に売った組織は、この1・2月の売上が良かったところが多いようです。
これは在庫が多く残っているのに、見栄を張り無理やりアウトレット(以下OL)やファミリーセール(以下FS)等に安易に頼らなかった判断はよいことだと言えます。おそらく、杓子定規にOLやFSに商品を大量に回し、無理矢理春物を立ち上げた組織は大打撃を食らっている筈です。(ディベロッパー側にも大いに問題がある。)
そんな中。この2月に春物の売れ行きで好調だった組織も少なからずあります。代表的なショップはUNIQLOでしょう。1月は冬物の在庫が少なく売上が低下するという、近年例にみない現象が起こっていましたが、そのこともあって例年以上に春物の売場構成の広がりが早かったのも(例年12月くらいに立ち上がっている。立ち上がりは実は早い。)功を奏した要因でしょうし、冬物不足分の在庫を春物で事前準備していたこと。また、商品そのものがお客様に支持されているということも言えるでしょう。
★UNIQLOにOLは存在しない。
そんな好調なUNIQLOですが、UNIQLOにはOL店舗は存在しません。よって、店頭に足を運ぶと常にセール商品は存在します。また、売れない商品を見切るスピードも速いです。ワゴンで投げ売りされている商品も常に存在します。要は現行の店舗で商品は売り切る!というスタイルのようです。
UNIQLO以外のファッションビルやショッピングモールに入っている人気のブランド・ショップは、その殆どがOL店舗を構えています。場合によってはプロパー店舗より、OL店舗の方が多い業態もあります。
しかしながら、この2月はその多くのブランド・ショップは、春物が売れず苦戦しています。前述したように、セール品や残り物の在庫をOL店舗に移動し、商品をフレッシュに展開できるにも関わらずです。そして、UNIQLOのように常にセール品を展開する必要がないので、見方を変えれば、こちらのパターンの方が春物の立ち上がりが良さそうなものです。
では一体なぜそうならないのか??
★MD・バイヤーの意識の低さが顧客に見抜かれている。
アウトレット店舗がある組織の最大の問題点は、MD・バイヤーの意識が低下することです。(そうでない組織もあります。)目先のプロパー消化率等の指標や見栄をはっただけの店頭のヴィジュアルには拘るが、商品が自分の手元から離れた瞬間、MD・バイヤーはその失敗がなかったかのように振る舞いがちです。
こうした現象は、何故おこるのか?例えば、ある一定の期間売れなけば、自動的に商品をOL事業部に移動できるルールがあったり、別会社管理で、顧客ではない誰かが得する仕組みになっていたりが、この業界では横行してますから、「OLに過ぎ去った商品は、もう自分には関係ねえ!」という意識になるのでしょう。また昨今。ECという新しい逃げ道も増えました。
また、OL商品移動する際のルール。場合によってはペナルティのルールもなく、組織内のなれ合いのため曖昧。よって、顧客の側を見ることなく、自分の利益のために仕事する人間が増えるのでしょう。
そのような意識で商品を作ったり、仕入れたりしているということが、すでに顧客に見抜かれている!ということに未だに気づいていないのでしょう。だからこそ、OL事業部も恐らくそのことから、独自商品を数量関係なく作っていく。更にそれを余らせるという、負のスパイラルに陥ることになります。
前述したUNIQLOも恐らく売れない商品が出てくれば、ある段階でフラグを立て、それを超えればセールになるという仕組みなのだろうと推測されます。しかしながら、OLという逃げ道がないため、なんとかして売りきろう!そしてこのような商品を、今後少なくしようと意識が働く筈です。そのことでより業務に対する責任感が高まっているように店舗を見ていると感じます。
昨今の「プロパー消化率の向上!」「QRの精度向上」等の指標やスローガンばかり掲げることが好きな業界ですが、そのようなことよりも、自分で作った。仕入れた商品は、最後まで売り切る!そして、失敗した商品から顧客のことを学ぶ!そういった意識を、各部署・個人それぞれに持たせる。教育することの方がよっぽど重要に思えてなりません。
それでも、そのような意識が変わらないのならば、むしろアウトレット店舗なんて無くして逃げ道を無くした方がその組織の為になるやもしれません。いい加減、既存の手段に疑いを持たない姿勢を正す時期に、この業界は来ているのではないでしょうか??
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