千金楽 健司
スウェーデンの「プライバシーレス」社会
購読しているメルマガに参考になる記事があったので紹介します。この記事が載っていたのは高城剛氏が主催する“高城未来研究所”が発行しているメルマガです。最近、中国の例がよく取り上げられていますが、「キャッシュレス化」は世界各地で進んでいます。ヨーロッパでは北欧諸国がその先頭を走っているといってもいいでしょう。今回はスウェーデンにおけるキャッシュレス社会についての話題です。
2015年に国内で発生した全ての取引の決済手段に占める現金の割合(決済額ベース)が2%というスウェーデン。「現金払いお断り」の看板を掲げている店舗も多く、街中のATMは続々撤去されているそう。現金で決済しようと思っても「お釣りがない」店舗も多いんだとか。また、複数の銀行が共同開発した「スウィッシュ」と呼ばれるスマートフォンの現金決済システムが定着していることもキャッシュレス化を後押ししているようです。
ワールドビジネスサテライトで紹介された「現金払いお断り」の看板
こうしたスウェーデンのキャッシュレス化について、高城氏は以下のようなメリットをあげています。
金融機関からすれば、現金を扱うコストを抑えことができるため、物理的な空間や人材の必要がありません。また、ユーザーからすれば、メリットの第一は安全性にあります。個人であれば財布を持たず、店舗であればレジを置く必要がありませんので、強盗に会うことがなく、犯罪率も低下します(高城未来研究所「Future Report」Vol.353/Part1より)。
ここまでは、日本のメディアでもよく報じられている・注目されている話題ですが、注目すべきはこの「キャッシュレス化」の裏にあるものです。
日本でも電子通貨の話題が取り上げられるたびに、スウェーデンのキャッシュレス社会に注目が集まることもありますが、この背景には、超透明化社会があります。例えば、個人情報をインターネットで調べると、住所や電話番号、生年月日、仕事や住んでいる不動産の価値、結婚や事実婚の有無、おおよその収入予測など、あらゆる情報が一覧で表示されます。偶然、カフェで知り合った女性の名前を検索し、住所がわかると「花束を送れる広告」まで表示されるのです。つまり、スウェーデンのキャッシュレス社会の大前提に、「プライバシーレス」社会があります。その一環として、お金の透明性を高めるキャッシュレスがあるのです(高城未来研究所「Future Report」Vol.353/Part1より)。
日本で暮らしている&WEBに関わる仕事をしていると、ぎょっとしてしまう話ですが、現地ではこれが当たり前になっている(「あたらしいモラル」である)と高城氏は書いています。IRCEでもNRFでも話題の中心となっていた「デジタルテクノロジーの進化によって、ありとあらゆるものが繋がっていく」これからの社会の片鱗ともいうべきものが、スウェーデンの「プライバシーレス」社会なのかもしれません。キャッシュレス化とプライバシーレス化は表裏一体。プライバシーレス化というインパクトに我々日本人が耐えられるのだろうか…そんなことを考えてしまうメルマガの記事でした。